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2021年01月15日 16:43

ストラテジーブレティン(270号)~年初の経済市場点描、株高は当然だ(前)

 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「Bストラテジーブレティン」を掲載していく。 
 今回は2020年1月14日付の記事を紹介。

(1) 景気回復確実、政策支援確実、それなら株高は当然だ

長期上昇の波に入った

 米国株式は史上最高値更新、日本株式も30年ぶりの高値(ドルベースでは史上最高値更新)など、株が駆け上がっている。韓国、台湾株は昨年11月以降、日本株式以上の上昇ペースで史上最高値を更新している。

 新型コロナ感染者の増加が止まらず、昨年末から年初にかけて雇用の回復に一服感が出るなど、経済の減速も懸念されている。そのなかでの株式の高騰につぐ高騰に、多くの専門家が違和感を表明している。確かにこれだけ急ピッチの上昇であるから、どこかで一定の調整は当然起きるが、これをバブルだとか、破局の始まりと決めつける議論は間違っているのではないか。長期上昇の波動に入ったという解釈が正しいと考える。

政策転換の必要性など何処にもない

 株高が途切れるとしたら、景気失速か、財政金融緩和策の転換であるが、どちらもまず起きないだろう。今、政策転換の必要性など、どこにもない。財政・金融一体緩和は、インフレまたは政府破綻に帰結し、失敗すると思いこまれている。しかし、インフレは株式などの実質資産価値を引き下げる。また、政府の実質債務を減価させる。つまりインフレは資産と債務を両建てで棒引きし、平和的に調整する。

 1970年代の米国は、まさにそれであった。図表2に見るように、名目株価は横ばいであったが、年率7%のインフレにより実質株価は15年間で3分の1に減価したのである。景気回復、株式資本主義、株高は続くと楽観的に考えてよい。

トリプルブルーは事実上のMMTを推進する

 第1の政策面では、バイデン政権はトリプルブルー下で、親ビジネスの経済政策に徹せざるを得ない。議会の同意を得やすい手厚いコロナ対策、インフラ投資など財政支出の拡大は実現しそうであるが、増税は先送りされるだろう。2022年米中間選挙をにらめば、反ビジネス、反ウォール街政策も抑え込まざるを得ない。FRBと協力した株高政策は必至である。日欧でも財政と金融が一体となった空前の超緩和マクロ政策、事実上のMMT、財政金融一体緩和が実施されている。この市場フレンドリーな政策が失敗するという根拠はまったくない。

短期景気ブーム加速

 第2に、21年は短期景気ブームの加速が見込まれる。対面接触を回避したモノの需要と供給は可能であることがわかった。製造業の生産水準は急速にコロナ前に戻りつつある。むしろ供給力不足が顕在化し、銅、アルミ、鉄鉱石、原油、スクラップなどの市況は高騰、半導体不足により自動車各社は減産に追い込まれ、半導体生産ラインの奪い合いが起きている。韓国、台湾、日本株式の世界のなかでの突出したパフォーマンスは、半導体を中心とした需給ひっ迫を背景としている。

 本来、20年は、18年春にピークを迎え19年末にボトムを打った世界製造業景気循環の回復の年になるはずであった。世界製造業ミニサイクルは15年春がピーク、16年をボトム、18年春がピーク、19年秋をボトムとなっていた。18年半ばからのミニ後退は、スマホや自動車の買い替えサイクル、米中貿易戦争による投資案件棚上げなどによって起こった。

 その底入れ直後にCovid-19のパンデミックが起き、ミニサイクルの底がさらに大きく引き下げられたわけだが、その分、21年のリバウンドの力が蓄積されている。加えて、全世界で欲望と貯蓄が堆積しており(いわゆるペントアップディマンド)、Covid-19終息の暁にはその急速な発現が見込まれる。21年後半には、強烈な短期循環の上押し圧力が顕在化するのではないか。

ワクチン接種でCovid-19制圧視野に

 バイデン次期大統領はワクチン接種を就任100日で1億回実施すると説明しているが、米国ではすでに1日60万人以上の接種が実施されており、この約束は実現可能であろう。これが実現できるとすれば年後半にはコロナ制圧が見えてくる。

悲観論者の間違った思い込み是正を、もたざるリスクが最大のリスク

 悲観論者は色眼鏡を外すときである。長期にわたるデフレと経済停滞で、日本の投資家心理は悲観の色眼鏡に慣れ親しんでしまった。しかし、今はそれを変えないと大きな投資損失を被るだろう。とくに、(1)資産価格値上がりはいずれバブル崩壊という罰を受ける、(2)金融緩和、財政出動はつけを後に回す悪い政策である、という2つの思い込みは即捨て去るべきであろう。

 投資家にとって21年の最大のリスクは、「もたざるリスク」であり、「資産価格下落リスク」でないことは、昨年からのパフォーマンスで思い知らされたはずである。

(つづく)

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