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2021年01月18日 07:00

ストラテジーブレティン(270号)~年初の経済市場点描、株高は当然だ(後)

 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「Bストラテジーブレティン」を掲載していく。 
 今回は2020年1月14日付の記事を紹介。

(2)日本株負のバブルの是正が始まった、ここから下落を心配する必要はほぼ皆無

 今市場にバブルがあるとすれば、それは債券である。今後、金利が上昇し、価格下落は避けられないであろう(国債は時価評価されないため、満期以前の評価損を計上する必要がなく、それが過剰な債券の投機需要を形成してきた)。日本株をバブルというなら、それはマイナスのバブルである。今、壮大な日本株負のバブルの崩壊過程、過剰安値から適正値に戻り始めていると考えられる。

株式本位制の時代が世界の趨勢

 米国金融では株式本位制ともいえる特徴が強まっている。信用創造・有効需要喚起の手段は銀行融資ではなく、株などの資産価格上昇が中心である。デフレリスク(=供給力超過)、異常低金利(=過剰貯蓄)の下では、資産価格の押し上げ、または積極財政政策が必要であるが、民間のイノベーションを喚起するには、資産価格の上昇がベターである。

 資産価格上昇を中心に、米国家計の純資産は2009年第1四半期の60兆ドルから、20年第3四半期には124兆ドルへと倍増して、10年間でGDP(20兆ドル)の3倍近くの富が増加し、旺盛な消費のけん引力になった。株価上昇は米国企業の資本力を著しく強化し、イノベーションを促進し、新産業革命の扉を開いた。

日本は負の資産バブルをつくり、オウンゴールで苦しんだ

 資産価格マネージメントでもっとも拙かったのが日本である。著しいネガティブバブル状態(アンダーバリュエーション)を引き起こし、国富の棄損と企業の資本力の顕著な衰弱を引き起こした。

 PBR(株価純資産倍率)を比較すると、日本1.18倍、米国3.92倍、フランス1.52倍、ドイツ1.64倍、英国1.49倍である。ドイツ並みに評価されただけでも4割の上昇となり、それは東証時価総額620兆円を250兆円引き上げる。

 年金保険の準備金を除く家計金融資産は、米国では48%が株式と投信、現預金は20%となっている。対して、日本では株式と投信が18%、現預金は76%である。配当利回り2%、預金金利0%が長期にわたって定着していることから、この日本人のポートフォリオはあまりにも異常である。

 資産配分の正常化がなされたら、巨額の資金シフトが起き、株式時価総額を大きく引き上げるだろう。この潜在的な株式の値上がり余地(当社は400兆円以上と計算)に、不動産の住宅価格の値上がり余地を加えた合計500兆円以上は、菅政権が「埋蔵金」として活用できる資産である。この埋蔵金は外国人の日本株買いと相まって、日本の改革を促進する推進力になるだろう。

株式投資規制の撤廃を

 この負のバブル是正が始まっている。それを徹底させて、不当割安の株価を是正するには、制度改正が望まれる。投資税制の改正(たとえば家計にも損益通算を認める)などもあるが、もっとも大事なことは株式投資に対する偏見を一掃すること、メディア・専門家が対策し、適正な世論を形成することが必要である。そのためには、公務員、金融、メディアなどの大多数の専門家を対象とする株式投資の禁止・抑制条項の大幅な緩和がまず必要であろう。

 資産運用は国民の権利であるにもかかわらず、多くの専門家は有望な投資対象である株式投資の機会を奪われているのである。官僚・学者・銀行・証券会社社員・報道機関社員など大半の専門家は、株式投資の経験も恩恵も知ることなく、株価や経済コメントをしているのである。米国などと比べてもこれは異常ではないか。フェアな世論が形成されているとは到底思われない。

(つづく)

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