2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

炭素税導入で再エネの経済性が逆転? RE100による本格化はこれから(後)

再エネ100%化の実現方法

 小嶋氏は、「RE100に参加するうえでは、自社で再エネ発電所をもつなど真剣に取り組んでいるほうが企業として評価を受けやすい」と話す。

 電力の再エネ100%化を実現するには、表のように6つの方法がある。最も高度な方法は、(1)「自社保有の再エネ発電(自家発電)設備を導入する」ことで、発電用地やソーラーパネルを屋根上に置ける工場、商業施設、ビルなどを所有し、大きな予算を付けられる企業で導入されやすい。電力を利用する企業の土地や建物の屋根などのスペースにソーラーパネルを無償で設置し、発電した電力料金を設置事業者に支払うPPA(電力販売契約)モデルも少しずつ拡大しつつある。

【導入事例】工場の屋根上にソーラーパネルを設置

 また、再エネ100%で発電された電力を購入する方法もある。(2)「自社敷地内で他社が保有する設備からの電力購入」や、(3)「専用線を経由して発電事業者から直接調達」する方法だ。(4)「電力系統を経由して発電事業者から直接調達」する方法もあるが、現状の制度では相対契約(※1)となる(自己託送※2は可)。手軽に導入しやすいのは、(5)「電力小売業からの再エネ100%の電力購入」や(6)「再エネの環境価値を証明する電力証書(非化石証書、J-クレジット、グリーン電力証書)の購入」だ。

 Looopが供給するRE100に適合する再エネ100%の電力は、自社のメガソーラーなどの発電と、他社の太陽光や風力発電所からの相対契約により調達している。自社発電所は、投資の費用対効果の高いFIT制度(固定価格買取制度)がメインだ。FIT電力は再エネとしての「環境価値」がないとされるため、発電所と紐づけた非化石証書を購入して付けている。

再生可能エネルギー100%の電力の調達方法
再生可能エネルギー100%の電力の調達方法

※1:2つの企業が1対1で特別な料金で取り決めた契約。 ^
※2:電力会社の送配電線を利用して、自家発電設備で発電した電力を発電設備の所有者が所有する別の場所に送電するサービス。 ^

CO₂排出に「炭素税」

 RE100に参加する企業はまだほんの一部だが、「CO₂排出量に応じて、企業が業種問わずコストを負担するカーボンプライシング(炭素税、排出量取引制度)が開始されると、再エネのコストは一般電力に比べて高いという経済性が逆転するだろう。そうなると電力のコスト増を防ぐため、再エネを導入する企業が大幅に増えるのではないか。カーボンプライシングは、早ければ今年にでも導入されると予想されている」(小嶋氏)。

 もし、カーボンプライシングがCO₂排出量1tあたり約1万円で導入され、電気代が1kWhあたり4~5円上昇すると、非化石証書の購入コストより炭素税の負担のほうが大きくなり、投資の費用対効果が生まれるため、再エネ発電所を設置したり、使用電力を再エネで調達し始める企業が増えてくる可能性がある。不動産業界でオフィスビルなどに再エネ100%の電力の提供を始める動きは、カーボンプライシングなど環境規制の導入を見越しているようにも感じられる。

(了)

【石井 ゆかり】

(前)

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