2021年12月09日( 木 )
by データ・マックス

50年、100年先を見据え“市民力”を核としたまちづくりを(前)

大野城市長 井本 宗司 氏

半世紀続く、住民主体のまちづくり

 ――大野城市の強みやポテンシャルについて、井本市長の考えをお聞かせください。

大野城市長 井本 宗司 氏
大野城市長 井本 宗司 氏

 井本 大野城市は約半世紀前の1972年4月、当時の「三万人市制特例法」によって市となったまちで、来年には市制施行50周年を迎えます。この地は古くから博多と太宰府とを結ぶ交通の要衝として栄えてきた場所で、現在も九州自動車道や福岡都市高速道路、国道3号などの主要道路のほか、JR鹿児島本線と西鉄天神大牟田線が通っていて、それぞれ駅が2つあるなど、とても交通の利便性に優れています。また、市の中央部の広い範囲でさまざまな開発が進む一方で、北東部に四王寺山や乙金山、南部には牛頸山といった豊かな山林も残っており、都市部と自然とのバランスの取れた住みやすいまちだといえます。

 そうした要因もあって、市制施行以降の本市は急速な発展を遂げてきたのですが、とくに昭和40年代や平成1ケタ代には大規模な住宅開発などによって人口が急増し、2016年8月には人口10万人を突破するなど、名実ともに中堅都市の仲間入りをはたしました。令和の時代においても、今後しばらくは緩やかな人口増が続いていく見込みです。

 本市の大きな強みの1つは、大都市に隣接し、先に述べたような主要道路や鉄道交通などに恵まれているという地の利であることは間違いありません。市では、こうした立地的特性を生かした区画整理によるまちづくりやインフラ整備などを進めることによって、多くの人に住環境の利便性などを感じていただいているところです。

大野城市役所
大野城市役所

 そうした立地や住環境の良さと合わせて、このまちの基礎となっているのが「コミュニティによるまちづくり」です。これは市制施行前の71年、南地区が当時の自治省(現・総務省)から県内では初めて「モデルコミュニティ地区」としての指定を受け、交通環境や生活環境の改善、さらには文化・体育・レクリエーションによるまちづくりを中心とした住民相互の取り組みが始まりました。この取り組みは、75年には北地区が、76年には東地区が県からモデルコミュニティ地区の指定を受けるなど、やがて市全体に浸透していき、現在では市内4つのコミュニティにおいて、市民同士、さらには市民と行政とが、さまざまな分野において市民共働のまちづくりを実践しています。こうした半世紀にわたって続けられてきた住民主体の取り組みが、大野城市の“市民力”の深化にもつながり、活力あるまちづくりの源となっているように思います。

 こうした大野城市の強みやポテンシャルについては対外的にも評価されており、日経BP社による2017年の「シティブランド・ランキング」では、守谷市(茨城県)や武蔵野市(東京都)と並んで全国1位となりました。同ランキングでは、先の「生活の利便性」をはじめ、大野城市の「子育て」や「医療・介護」などの項目が高く評価されています。

 ――その一方で、市が抱えている課題があれば、お聞かせください。

 井本 本市は、福岡県内でも出生数が多く、自然増加率の高いまちではあるのですが、全国的な潮流である少子高齢化は、そう遠くない将来に進行していくことが懸念されています。この少子高齢化にどう対応していくか、というのは、本市においても喫緊の課題です。

 そうした将来を見据えたときに、高齢者の活力を維持する施策を進めていくのはもちろんのこと、若い世代の活力をさらに高めていく取り組みもますます重要になっていくと考えています。そのため、現在はとくに待機児童解消に向けた保育定員の増加や、子育て世帯への各種支援策、市内の公共施設における子育て支援事業などを重点的に実施しているところで、待機児童も来年にはゼロになる見通しです。「このまちで安心して子どもを生み、育てられる環境づくり」――これは、大野城市に限らず、将来に向けたまちづくりの主要テーマの1つになるのではないでしょうか。

(つづく)

【坂田 憲治】


<プロフィール>
井本 宗司
(いもと・むねじ)
1952年4月、大野城市出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、77年に財団法人九州生産性本部に入社。91年に福岡県議会議員に初当選して同議員を4期・14年務める一方、2003年5月には第56代福岡県議会議長に就任。05年7月に福岡県議会議員を辞職し、同年9月に大野城市長に初当選。現在、4期目。

(中)

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