アパート販売から撤退し事業構造を大幅変革、IoT開発をフックに企業のDXコンサルで躍進図る(後)
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(株)Robot Home 代表取締役CEO 古木 大咲 氏(4月1日に(株)TATERUから商号変更)
IoTフックにしたDX支援
――DX総合支援サービスとは、どのようなものでしょうか。また、既存のビジネスとの関連についてお聞かせください。
古木 Residence kitの販売をきっかけに、「IoTでこういうことはできないか」といった要望を多くいただくようになり、モデルルーム設置後からとくに増えてきた印象です。コロナ禍が後押ししているのだと思いますが、どの企業もデジタルトランスフォーメーション(DX)への課題を抱えているようで、先ほどの賃貸管理システムやResidence kitなどのIoT機器開発の実績から、当社でDXコンサルティングをサービス化できると判断しました。前期末時点で、7社のクライアントがおり、月30万円からコンサルティングを行っているところで、合計で4,000万円程度の受注をいただいています。売上計上は今期からとなりますが、収益へのインパクトも小さくない事業で、今後の成長エンジンの1つとして認識しています。デベロッパーなどの不動産会社だけでなく、酪農や新電力、介護福祉など、さまざまな業種の企業にサービス提供しています。前期末時点で7社だったクライアントも倍近く(2月下旬時点)にまで増えていますし、Residence kitをフックに、DX総合支援サービスの収益も拡大しているところです。
――管理システムの開発により、人件費を中心としたコストを増やすことなく管理事業を拡大する方向だとお聞きしましたが、DX総合支援サービスではいかがでしょうか。
古木 フルスクラッチでシステムをつくるケースでは、スキルが高いエンジニアチームを派遣しての作業が必要になるため、人件費が収益に連動してしまいます。
しかし、ノーコード・ローコードアプリで十分なケースも多く、その場合は必ずしもエンジニアを必要としないため、コストを抑えて拡大することが可能です。我々の強みは、これまでにITを活用したシステムやプロダクトを数多く開発してきたことです。システムやプロダクトの開発において重要となるのは、要件定義です。要件定義とは、プロジェクトを始める前の段階で必要な機能や要求をわかりやすくまとめていく作業のことで、業務フローを改善したくても、要件定義がきちんとできていなければ、システムが複雑化して開発コストが高額となるうえ、最終的には使いにくいものになってしまいます。当社では、管理システムやIoT機器の開発にはこれまで膨大な時間をかけてきましたので、要件定義の重要性は身をもってわかっているつもりです。要件定義の知見が、我々の最大の武器といっても過言ではありません。
クライアント次第ですが、DX総合支援サービスのプロジェクト期間は基本的に1年間で、内訳は要件定義に3カ月、残り9カ月をシステム開発にかけます。最初はビジネスモデルの聞き取りから、どのようなシステムを、どのような業務に使っているのか、といったことを徹底的にヒアリングします。その後はマップのようなものをつくって、どこをどう変えるのかを提案するといったかたちです。要件定義をしっかりすることによって、実はフルスクラッチでなくても、かなりの部分で十分に業務フローを改善できるのです。
アパート販売からは撤退へ
――決算と同時に、Robot Homeへの商号変更も発表されました。
古木 現在は、アパート建築販売を意味するTATERUから事業内容が大きく変わり、事業の軸はResidence kitを主力とするAI・IoT事業となっています。それを体現している社名が子会社のRobot Homeでしたので、ブランド力の向上と効果的な事業展開のため、4月1日に商号変更することを決めました。これをもって子会社のRobot Homeは、Residence kitへと商号変更します。
――TATERU事業の今後の方向性については、どのようにお考えでしょうか。
古木 アパート販売を主力とするTATERU事業は、今期から「不動産コンサルティング事業」に変更しますが、事実上、アパート販売からは撤退することとなります。これまでお話しした通り、現在の業績を牽引しているのはAI・IoT事業であり、ここを今後も当社の主力事業としていくからです。
ストックとなる賃貸管理事業の強化は、重要な経営指標でしたが、これまではアパートをつくって販売して、その分を上積みすることで管理戸数を伸ばしてきました。今後はその手法から脱却し、システム提供やResidence kitの販売、管理事業の強化などによってストック強化を図っていきます。これまでの賃貸管理システムやIoT機器も、我々が使いやすいように設計してきましたから、Residence kitを外部の管理会社やオーナーにも提供していくために、細かいところを含めて改善してきました。アパート販売に割いていたリソースをResidence kitの開発販売やDX支援に向けることで、さらなる成長の足がかりにしてまいります。
(了)
【永上 隼人】
<COMPANY INFORMATION>
(株)Robot Home (4月1日に(株)TATERUから商号変更)
代 表:古木 大咲
所在地:東京都渋谷区恵比寿南3-4-14-2F
設 立:2006月1月
TEL:03-6447-0651月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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