【熊本】城下町の面影残す中心市街地、九州第3位・熊本市の今昔――(5)
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2021年05月06日 07:00

【熊本】城下町の面影残す中心市街地、九州第3位・熊本市の今昔――(5)

九州第3の都市へ

熊本城の眼下にある中心市街地・通町筋
熊本城の眼下にある中心市街地・通町筋

 戦後、熊本市では戦災復興計画基本方針に基づいて、恒久的復興計画を策定した。これは、都市機能の向上や衛生面および都市美の増進など、近代都市としての形態を整えながら急速な復興を進めることを図るもので、46年9月には用途地域および都市計画道路を新たに計画決定。同時に戦災地とその隣接地域における土地区画整理事業として「戦災復興土地区画整理事業」が決定され、それに基づく復興が進んでいった。

現在は県内唯一の百貨店となった鶴屋百貨店
現在は県内唯一の百貨店となった鶴屋百貨店

 また、戦後復興のなかで52年6月に鶴屋百貨店が、同年10月には大洋デパートが新たに開業。戦前から営業している銀丁百貨店と合わせて、三大デパートと呼ばれ、中心市街地を盛り上げた。とくに鶴屋と大洋が出店した通町筋や下通などには、アーケード商店街などの繁華街が形成され、現在に至るまでその地位を保ち続けている。なお、戦前開業の千徳百貨店は戦災によって店舗を焼失し、その後に再建をはたしたが、新たな2デパートの勢いに押され、55年3月に閉店となった。ちなみに、銀丁百貨店はその後、大洋デパートの傘下に入り、その大洋デパートも73年11月に発生した大規模火災事故の影響で76年10月に破綻。現在も残っているのは鶴屋百貨店だけとなっている。

中心部にある下通り商店街。写真に写っている複合商業施設「COCOSA」の場所には、かつて大洋デパートがあった
中心部にある下通り商店街。写真に写っている複合商業施設「COCOSA」の場所には、かつて大洋デパートがあった

 一方で、53年6月26日と57年7月26日と二度にわたって、熊本市は集中豪雨による大水害に見舞われ、市内の低地部分を中心に大規模な被害を受けた。これを受けて、市東部の丘陵地帯などに新たな住宅地が造成。とくに戦時中には飛行場や飛行機工場が立地していた健軍町一帯には、戦後になって自衛隊や官公庁、大規模な公営団地、学校などが建てられて人口が急増。市電が延伸して終点停留場となったことで、その周辺には商店街や歓楽街が形成され、市東部地区の一大拠点となった。また、旧軍用地であった大江・渡鹿エリアでは戦後、熊本学園大学や熊本商科大学、熊本女子大学(後に移転)、熊本電波工業高等専門学校(後に移転)、警察学校などが開校し、進学校である県立熊本高等学校などと合わせて、文教地区としての様相を呈している。

 また、59年4月には、市制70周年記念行事として熊本城天守閣の再建が始まり、翌60年9月に落成式を迎えた。西南戦争で焼失して以来、実に83年ぶりに再建された熊本城天守閣は、市のシンボルとして、そして観光の目玉として存在感を放っている。

 60年代に入ると、国道3号の清水バイパスや川尻バイパスなどの基幹道路が開通したほか、71年6月には九州道・熊本ICが開通。モータリゼーションの進行に合わせて、市内周辺の道路整備が進む一方で、熊延鉄道の廃止や市電の路線縮小など、交通インフラの新旧交代が行われていった。

 こうして戦後復興とともに熊本県の県都として順調な発展を遂げていた熊本市だが、63年4月に北九州市が、72年4月には福岡市が政令指定都市となると、その後塵を拝することになる。その後、「平成の大合併」においては、2008年10月に富合町を、10年3月に城南町と植木町の2町を編入したことで、期間限定の政令指定都市の要件である人口70万人を達成し、12年4月に九州で3番目(全国で20番目)の政令指定都市となった。九州1位の座からは陥落したものの、その都市力の高さはいまだ健在である。

(つづく)

【坂田 憲治】

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