筑後に根差して131年、広がり続ける「オーヤブ」ブランド
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(株)大藪組 代表取締役社長 石井 正 氏
131年にわたる地域貢献
――創業131年を迎えられました。これまでを振り返って、とくに思い出深い出来事や、今後取り組んでいかれたいことなどがあれば、お聞かせください。
石井 先代からお声がけいただいたことがご縁となり、大藪組に入社。代表に就任してからは、15年が経ちました。代々の経営者が築き上げてきた財産を守りながら、次世代により良いかたちで「大藪組」をつなげていく。これが、私にとって一番大事な役割なのだと思います。
この役割を全うするうえで、私にとって最初の試練となったのが代表就任直後でした。当時は民主党政権下の「コンクリートから人へ」の影響がまだ色濃く残っており、公共工事は減少傾向が続いていました。当社は、公共土木工事に主体的に取り組んでいましたので、経営基盤を守るためにも、新たな一歩を踏み出す必要がありました。そこで取り組んだのが、民間建築工事です。おかげさまで、お客さまや地域の皆さまとのご縁も広がり続けております。
――近年、九州でも大雨をはじめとする自然災害が頻発しており、復旧工事に欠かせない地域の土木工事業者の存在感が増しています。
石井 当社は、九州北部豪雨(2017年7月)で大きな被害を受けた東峰村の復旧工事にも携わりました。重要な交通結節点である筑前岩屋駅までの周辺道路が土砂崩れによって通行不能となったため、当社には新たな道路造成工事が任されました。私も直ちに現場へ向かい、状況確認などを行いました。そして、再度土砂崩れが起こった場合、移動できない住民の方が危ないと判断し、まずは急ピッチで仮設道路を設置。社員一丸となって復旧工事に取り組みました。以降、当社は東峰営業所を新設し、完全復旧を目指して東峰村で活動させていただきました。東峰営業所は間もなく、無事に役目を終える予定です。
――長きにわたって土木工事で培ってきた経験や技術が生かされた地域貢献です。
石井 地域の土木工事業者の皆さまとも協力しながら進めてきた結果です。3カ年計画で予算が組まれた激甚災害などへの対策事業も終わりを迎えますが、改めて国土強靭化など、災害に備えたまちづくりの重要性を感じます。
木造建築の可能性と取り組み
――御社では注文住宅「オオヤブホーム」にも取り組まれています。木材の可能性についてご意見を聞かせてください。
石井 東峰村にある大行司駅の駅舎が被災して倒壊したことから、ライオンズクラブの寄付によって建て直されることになりました。駅舎は木造です。また、農家の佇まいをそのまま生かした古民家レストランも誕生しました。このほかにも、旧小石原小学校がレストラン・宿泊施設「アクアクレタ小石原」としてリノベーションされましたが、木材がふんだんに使用されています。やはりRCには出せない木の良さ、味わいというのはあると思います。
当社も住宅部門で木造を手がけることが多く、それが「オーヤブ」ブランドの構築につながっている側面もあります。筑後エリアに拠点を置くゼネコンで、木造建築を手がける同業他社がいない点も、当社に木造案件のお話をいただける一因かもしれません。住宅以外でも、たとえば下広川小学校の木造校舎も、私たちが手がけたものです。
筑後エリアは八女木材に代表されるように、高い評価を受ける木材の産地でもあります。地域の魅力をエリア内外に伝える際、木材が1つの強みであることは間違いないと思います。――国産木材の利用促進のためには、何が必要だと考えられますか。
石井 当社では、国産木材を使用しています。価格面でも、外国産材のほうが極端に安いと感じたことはありません。国産木材を使ってほしいという声も多く聞かれます。豪雨災害においても、流木が二次災害を引き起こす事例が多く、被害を最小限にとどめるためにも、国産木材の利用促進が必要不可欠だと思います。自治体によっては補助金を出しているところもありますので、官民一体となって取り組んでいくことが大切だと思います。
――最後に、筑後エリアの強みについて、自由な意見をお聞かせください。
石井 筑後エリアの人口は微増で推移しており、まちとして相応の活況が維持されています。新幹線の停車駅もあることから、福岡市中心部へのアクセスも良く、十分通勤圏内といえます。ソフトバンクホークスの専用球場「HAWKSベースボールパーク筑後」など誘客を促進する施設も充実しており、交流人口も少なくありません。
今後は、生活に必要な商業、医療施設が近接するコンパクトシティとしてのまちづくりを進めていければ、定住人口も増え、エリアとしてさらに発展していけるのではないでしょうか。リモートワークが普及し、働く場所を選ばなくて済むようになれば、筑後で暮らすというのは、現実的な選択肢になります。その実現のためにも、当社が住宅整備の面で貢献できることがあれば、地域のために尽力していきたいと思います。
【聞き手:内山 義之/文:代 源太朗】
<COMPANY INFORMATION>
(株) 大藪組
代 表:石井 正
所在地:福岡県筑後市長浜2043-1
創 業:1890年10月
設 立:1945年12月
資本金:5,000万円
URL:http://www.oh-yabu.co.jp関連記事
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