2024年04月19日( 金 )

創立の地・熊本で大型開発「水前寺のシンボル」へ

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(株)グッドライフカンパニー 代表取締役社長 高村 隼人 氏

熊本と福岡の違い

 ――御社は熊本と福岡の両市で、多くの投資用賃貸マンションを企画・開発してこられています。賃貸マーケットとして見た場合の、熊本と福岡の違いはいかがでしょうか。

代表取締役社長・高村隼人氏
代表取締役社長・高村隼人氏

 高村 大きく3つあると考えています。まず1つ目は、エリアの賃貸ニーズの違いです。たとえば福岡では、オフィスなども含めて空室期間が非常に短いです。両市の中心部で居住人口が約1万人のエリア――福岡市役所から半径1,600mと、熊本市役所から半径2,500mのエリアとで比べた場合、エリア全体の平均空室期間が福岡は1.4カ月なのに対して、熊本は2.3カ月という結果でした。こうした福岡と熊本での空室率の差に表れる賃貸ニーズの差は、大きな違いです。

 2つ目は入居者ニーズの違いです。たとえば、福岡の1LDKは30m2程度が主流ですが、熊本の1LDKだと40m2程度が平均値になります。また、当社の供給物件における設備面での違いはとくにありませんが、熊本は福岡に比べて車社会ですから、駐車場の附帯率が変わってきます。このようなニーズの違いによって作成するプランも変更する必要がありますので、各エリアの入居者ニーズをいかに早く把握するかが重要になってきます。

 最後は、地価の違いです。我々が開発対象としているエリアでの福岡と熊本の地価を見ると、約3倍の金額差があります。その一方で、家賃は3倍ほどの差はなく、福岡が熊本の約1.3倍です。そのため、利回りの面では熊本のほうが福岡よりも良く、単純につくって供給するだけであれば、熊本のほうがやりやすい部分はあると思います。

 ――御社が熊本市内で供給するエリアは、どのような場所なのでしょうか。

 高村 まず大前提として、熊本に限らず日本の総人口が減少していくなかで、熊本というエリアだけに固執していては、当社のビジネスは成り立ちません。また、5年前の熊本地震などもありましたが、我々が企画しているような投資用賃貸マンションにとって、一番のリスクは天災です。天災に関しては我々人間の力では防ぎようがありませんから、リスク分散の意味でも、熊本だけに供給するよりも、全国のなかでも人口が増加傾向にある福岡や沖縄での展開に力を入れているところです。

 とはいえ、これまで当社が企画を手がけている133棟の物件(進捗中のプロジェクト含む)のうち92棟が熊本市内の物件ですし、熊本市内でも利回りや価値が担保されているところには、今後も供給していこうというスタンスです。先ほどもお話ししたように福岡に比べて利回りは良いですし、現状の収益性が良く、エリアとしての人口減が緩やかで、土地の価値があまり目減りしないところなどは狙っていく方針です。そうしたエリアを考えると、自然と中心部になっていくでしょうし、たとえば、中心部を走っている熊本市電(路面電車)沿線の駅近などは、供給エリアに入ってくると思います。あとは、熊本市内でもエリアとしてのブランドがあるところ――たとえば水前寺などは、現在も大型プロジェクトを進行しています。

 ――熊本地震の前と後とでは、何か影響や変化はありましたか。

 高村 熊本は、福岡などに比べると、なかなかスクラップ&ビルドが進まなかったエリアだと思います。古い建物が再開発されずにそのまま残っていましたが、それが震災を機に、再開発などの動きも活発化してきているように感じます。

 当社にとっては直接的に大きな影響はありませんでしたが、震災後の復旧・復興のための建築需要が増えたことによる業者不足等で、建築費がなかなか確定しないという状況がありました。そのため、オーナーさまに対しての投資提案がスピーディーに行えないといったもどかしさがありました。そのような背景もあり、19年4月に(株)グッドライフ建設を設立し、施工機能を完全内製化したことで、オーナーさまへのスピーディーな提案と高利回りかつ高品質な商品提供が可能な体制を確立しています。

創立の地への凱旋

 ――現在、御社の創立の地である熊本市中央区水前寺で、大規模プロジェクトを進められていますが、このプロジェクトへの思いなどは。

LIBTH水前寺イメージパース
LIBTH水前寺イメージパース

 高村 水前寺では現在、22年3月竣工予定の15階建て・112戸の物件をはじめ、同じく22年3月竣工予定の12階建て・66戸、22年9月竣工予定の15階建て・56戸の計3棟のプロジェクトを進めています。なかでも112戸の物件は、マンションの規格自体は通常のものと変わりありませんが、1LDK・56戸とワンルーム・56戸で構成され、総戸数では当社が手がけたなかでも最大級のプロジェクトになります。

 当社は08年6月に、私が28歳で創業したのですが、そのときに「どこ」で「何」をやっているかがわかりやすく、かつ「老舗っぽい」名前にしようと、熊本でもネームバリューのある土地を選んで、最初に付けた社名は「水前寺不動産」でした。創立の地だからといって個人的に特段強い愛着があるわけではありませんが、この地でシンボルになり得る当社最大級のプロジェクトを行えることは、やはり感慨深いものがありますし、運命も感じます。

 熊本市内では現在、この水前寺プロジェクトを含めて8棟・約500戸のプロジェクトを進めていますが、ここに甘んじることなく、今後も熊本、福岡、沖縄、そして東京、全国へと展開を加速していきたいですし、各エリアでの営業強化に邁進していきます。そして、これからも入居者さま、そしてオーナーさまのために「いい住まい」「いい暮らし」の創造に寄与しながら、まずは売上高1,000億円規模を目指して、さらに自社の成長を加速させていきたいと考えています。

【聞き手:永上 隼人/文:坂田 憲治】


<プロフィール>
高村 隼人
(たかむら・はやと)
1979年9月生まれ。2008年6月に(株)水前寺不動産を設立し、代表取締役に就任。10年11月に(株)熊本不動産、14年12月に(株)グッドライフカンパニーへと社名を変更し、17年11月に本社を福岡市に移転。18年12月に東京証券取引所JASDAQ市場へ上場。19年7月に沖縄支社、20年11月に東京支社を開設した。

<COMPANY INFORMATION>
(株)グッドライフカンパニー

代 表:高村 隼人
所在地:福岡市博多区博多駅前2-17-8
設 立:2008年6月
URL:https://www.goodlife-c.co.jp

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