2021年12月03日( 金 )
by データ・マックス

ビル・ゲイツ夫妻の離婚の真相と影響(前)

国際未来科学研究所代表 浜田 和幸

 世界有数の大富豪にして最大の慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」を運営するビル・ゲイツ氏が27年間連れ添ってきたメリンダ夫人との離婚を発表したことで、大きな波紋が巻き起こっている。

 離婚を発表したスーパーリッチ夫婦のビルとメリンダであるが、意外なことに、アメリカの出会い系サイトではなりすましの投稿が相次いでいるようだ。何しろ、歴史上稀に見る大富豪カップルであり、離婚による財産分与の結果、730億ドルを手にするメリンダさんは一夜にして女性としては世界で2番目の資産家になった。もちろん、ビル・ゲイツ本人もそれを上回る資産をキープしている。

 要は、独身の大富豪が2人も誕生したことになる。そこで2人のふりをしてネット上でデートや結婚の相手を探す動きが活発化しているのである。ネット上では写真やプロフィールの加工や捏造は日常茶飯事。サイト運営大手の「ティンダー」では「投稿者の本人確認に万全を期す」というが、容易ではないだろう。

 日本でも婚活サイトが人気のようだが、相手の焦りや弱みに付け込む詐欺師も横行している。しかし、よりによってビル・ゲイツやメリンダのふりをするような日本人は見当たらない。アメリカ人の大胆さというか独特の国民性の表れだろうか。遅かれ早かれ、日本にも似たような現象が訪れるかもしれないが、ネット上の加工情報にはくれぐれも騙されないようにしたいものだ。

 さらに話題となっているのは、2人が所有する世界的大企業の株の行方であろう。たとえば、「コカ・コーラ」。1886年、ニューヨークでは「自由の女神」像の建設が進んでいたが、その同じ頃、南部ジョージア州のアトランタで産声を挙げたのが「コカ・コーラ」である。

 薬剤師のペンバートン博士がシロップと炭酸水を混ぜ合わせた飲み物を薬局で売り出したのが始まりだった。当初は1日に10杯売れるか売れないか、といった状況であったが、今や世界で最も売れる飲料へと大躍進を遂げている。日本では1957年5月8日に製造発売が開始された。そのため、アメリカでも日本でも5月8日は「コカ・コーラの祝日」となっている。

 実は、その恩恵を株主として最大限に享受してきたのが「オマハの賢人」という異名をもつ投資家ウォーレン・バフェット氏や、そのアドバイスでコカ・コーラの株を大量に保有してきたビル・ゲイツ氏に他ならない。そんなビル・ゲイツ氏がメリンダ夫人との離婚を発表し、財産の大きな部分を占める株式の行方が関心を呼んでいるわけだ。

 ゲイツ氏はそうそうとメキシコにあるコカ・コーラボトリング会社の株をすべてメリンダさんに譲ったとのこと。その数は何と2,500万株!金額にして1億2,000万ドルになる。要は、メリンダさんは一躍、コカ・コーラボトリング会社の大株主になったわけだ。

 一方、ゲイツ氏は財団名義で同社の株を依然として6,200万株も保有している。27年間の結婚生活で「夫のビル・ゲイツ氏に騙され続けた」と怒りを露わにするメリンダさん。今後はコカ・コーラの経営に関しても大株主として対決することがあるかもしれない。

 さらにいえば、世紀の離婚劇の注目点は2人が運営に関わってきた「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」の行方である。というのも2019年にアマゾンの創業社長にして世界1の資産家ジェフ・ベゾス氏がマッケンジー夫人と離婚した際には、360億ドルが夫人に支払われた。その結果、ベゾス氏の慈善財団の活動に大きな影響がおよぶことになったからだ。

 マイクロソフトを創業したゲイツ氏の慈善団体は500億ドルの活動資金を保有しているが、メリンダ夫人への財産分与の金額次第では、ゲイツ財団からの資金援助を当てにしている団体にとっては厳しい事態も想定されるだろう。

 ゲイツ氏はかつて世界ナンバーワンの資産家であったが、税金の支払いを回避するために慈善団体を設立し、2,000憶ドルと目される資産の防衛策を講じてきた。表向きはアフリカなど貧しい途上国への援助や各国の大学など研究機関への資金提供を謳ってきたが、実際には「税金逃れではないか」との批判が常に付きまとっていた。

 ゲイツ夫妻はアフリカやインドへ旅行した際に、現地の貧しい医療体制に心を痛め、ポリオなど感染症の予防や治療に資金援助することを決意したという。そこで新たに開発した感染症の予防ワクチンをアフリカやインドなどで接種する活動を始めたのである。

 問題はこうしたワクチン接種による副作用が深刻化したにもかかわらず、世界保健機関(WHO)の個人として最大のスポンサーであるゲイツ氏が大手製薬メーカーの開発したワクチン接種を止めようとしなかったことであろう。

 結果的に、インドでもアフリカのチャドでも多くの子どもたちが死亡したり、後遺症に苦しむことになってしまった。遅まきながら、インド政府もアフリカ諸国の政府もゲイツ財団が提供したワクチンの接種を禁止する決定を下し、被害にあった子どもたちの親には見舞金が支払われた。

(つづく)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)

 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。

(中)

関連記事