新たな業界スタンダードを目指して~低価格有料老人ホーム「たいよう」
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2021年06月11日 06:00

新たな業界スタンダードを目指して~低価格有料老人ホーム「たいよう」

有料老人ホーム「たいようII 貴山駅前」
有料老人ホーム「たいようII 一貴山駅前」

(株)ttt

月額11万円で利用できる介護施設

 有料老人ホーム「たいよう」は、オムツ使い放題にも関わらず、入居金0円、月額11万円程度で利用可能な介護施設である(他施設では、入居金10万円・月額利用料金15万円が平均的)。運営を手がけるのは(株)ttt。社名の「ttt」には、「Thanks To Trouble(=課題に感謝する)」という意味が込められている。同社代表取締役社長の内田啓太氏はサラリーマン時代、糸島に開設された宅老所で介護業務から施設の運営・管理、経営までを1人で全うした。このとき経験した数々の困難が、低価格有料老人ホーム「たいよう」の実現へとつながっている。

 「利用者さまやそのご家族の多くが、高額な施設利用料で悩まれていました。国民年金の平均受給額が月5万5,000円前後。何とか低料金で利用できる介護施設をつくりたいとの思いから独立を決意し、低価格で安心・安全・快適に利用できる、『たいよう』を開設しました」(内田代表)。

自ら施設の間取りを手がける

(株)ttt 代表取締役社長 内田 啓太 氏
(株)ttt 代表取締役社長 内田 啓太 氏

 全国最安値の利用料金を実現すべく、内田代表は介護経験を生かして施設設計を自ら手がけた。介護施設運営において、一般的に80床規模であれば建築費は5億円ほどかかり、その返済が後の経営圧迫につながる。

 そこで、介護施設のつくりを一から見直し、必要なものを見極めた。各居室の介護ベッド・手すり・エアコンなど、安心・安全な介護に必要なものは残しつつ、居室をコンパクトにして、豪華なロビーや広い廊下などを取り除いた。この取り組みで建築コストを削減できたことによって、低料金が実現できている。

 また、利用者だけでなく、施設職員の給与・待遇への還元も積極的に行っている。利用者に一番に接する施設職員に経済的・精神的な余裕がなければ、利用者に本質的に安心・安全を感じてもらえる介護サービスの提供は到底できない、という考えの下、独自の手当を支給。これらをはじめとする取り組みにより、人手不足といわれる介護業界においては異例の採用力と低離職率を誇っている。一時期は採用率50%という狭き門にも関わらず、応募が殺到したほどだ。理念に掲げる「すべての人にやさしくあるために」が、利用者だけでなく、最前線で働く施設職員のことも気遣う姿勢として表れている。

求めに応じて15施設体制を目指す

 昨年8月にオープンした「たいようII」(糸島市二丈田中)には、オープン2カ月前までに定員76名に対して121名から申し込みがあったほどで、低価格有料老人ホームへの需要の高さがうかがい知れる。この反響を受け、同社は目標の1つとして、2024年までにまずは福岡県下で16棟体制、売上高30億円の達成を掲げている。

 人材確保においては待遇改善だけでなく、勤務体制も施設職員がプライベートとの両立がしやすいように大幅に変更した。通常は、日勤と夜勤とを交互に行うが、たいようでは日勤と夜勤を完全に分離することで、生活リズムの安定化・プライベートの確保にも配慮した。

 「今後、労働集約型の介護施設から自宅介護へと移行していくと考えています。50年先なのか100年先なのかはわかりませんが、IoT化やDXの推進によって、人の負担は徐々に減っていき、最終的には介護ロボットの活躍により、完全無人の自宅介護が達成できると確信しています。そうなったときにも介護業界のスタンダードを提供できるように、異業界の動きに関しても常にアンテナを張っています。」(内田代表)。

 介護サービスの新たなスタンダードとなり得る同社の、今後の動向に注目していきたい。

【代 源太朗】


<プロフィール>
内田  啓太
(うちだ・けいた)
1989年生まれ、佐賀県出身。長崎国際大学健康管理学部卒。在学中に塾、ベーカリーカフェ事業などで起業。介護ソフト開発・販売会社でのサラリーマン経験を経て、18年6月、有料老人ホーム「たいよう本館」開設。現在では糸島市、福岡市などを始めとし、有料老人ホームたいようを4施設運営中。(2021年中に2施設新規開設し、計6施設運営予定)

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