トライアルHD、野心的な中計を発表 西友統合シナジーで3年後に営業利益2.5倍へ

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 トライアルホールディングス(HD)は2月12日、2027年6月期から3カ年の中期経営計画を発表した。最終年度となる29年6月期の売上高目標は、トライアルが1兆500億円、西友が5,800億円で、合計1兆6,300億円を目指す。

 営業利益の目標は、トライアル612億円、西友180億円で、合計792億円。のれん償却額152億円を差し引いたトライアルHD連結では640億円となる。26年6月期の見込みは売上高1兆3,225億円、営業利益254億円で、目標数値はそれぞれ23%増、152%増と大幅な増益を目論んでいる。

 注目されるのが統合のシナジー効果だ。売上総利益ベースで、26年6月期下期から27年6月期にかけて、仕入条件統一と帳合統合により累計130億円、26年6月期下期から29年6月期の間に、PB(プライベートブランド)強化とカテゴリマネジメント高度化で累計450億円の押し上げを図る。

 また、西友のシステムをトライアルのものに一元化することで、29年6月期に20億円の開発・運用・保守コスト削減を実現する計画だ。システム統合によるコスト削減は目標達成が十分見込め、仕入条件統一と帳合統合効果もある程度の成果が期待できそうだ。

 問題はPB強化とカテゴリマネジメントの高度化だ。PBは両社で共同開発を行い、双方のPBを相互に販売する。25年12月期上期時点でPBの売上高構成比はトライアルが19.8%、西友が14.9%だが、29年6月期にはグループ全体で25%まで引き上げる計画だ。

 利益率の高いPB比率を高めることで収益力の向上を図る狙いだが、かなり高い目標で、グループ全体で20%超でも容易ではないと思われる。

 カテゴリマネジメントの高度化では、具体的には(1)PB・NBミックスの最適化、(2)棚効率を最大化する棚割り改革、(3)高収益のハード・アパレル強化を掲げるが、これも一筋縄ではいかない。

プロセスセンターとセントラルキッチンの再編で、稼働率と生産性の向上を目指すが、それだけでは収益力の向上には限界があり、新たな取り組みが必要となろう。

 成長を担保する出店計画は、トライアルが収益力の高い主力のスーパーセンターを毎期2桁ペースで出店し、3年間で35店舗を新設。閉店は見込んでいない。小型店「TRIAL GO」は、3年間で100店舗の出店を計画している。西友は、ハイパーマーケット(大型店)30店舗の「トライアル西友」への業態転換と、スーパーマーケット(中小型店)60店舗の戦略的改装を成長の柱とする。

 トライアルHDは、西友を買収したことにともない、今後20年間にわたり年間約152億円ののれん償却が発生する見込みで、最終利益を圧迫する要因となる。加えて、26年6月期時点で純有利子負債は約3,845億円に達し、利息負担も重くのしかかる。中計期間中に1,150億円の借入金返済を計画しているが、EBITDA(純有利子負債倍率)は26年6月期の5.8倍から29年6月期に3.0倍へと改善を目指す。

 懸念を払拭するためには収益力向上が欠かせず、新たな中計でその道筋を明らかにしたわけだが、目標を達成する道のりは容易ではない。 

 

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