2024年04月19日( 金 )

【陣原駅前開発(3)】変わる陣原駅前「まちの声をカタチにする」松尾組の都市開発

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北九州市のまちづくりに尽力

 建設業を通じて、経済の成長・社会の発展に貢献し続ける(株)松尾組。1942年の創業以来、「北九州市町上津役土地区画整理事業」の実施や「北九州市立八幡病院」の建設などを通じて、75年以上の長きにわたって地元・北九州市のまちづくりに尽力している。

 そんな同社が代表企業となり、(医)しょうわ会、大英産業(株)とともにJR陣原駅南口の再開発という新たな都市開発に挑戦する。駅前という好立地に、快適な暮らしに不可欠な医療施設・商業施設・住まいを集約することで、安心と賑わいとやすらぎを得られる拠点を創出し、交流人口の増加、周辺地域の活性化につなげていく方針だ。

(株)松尾ホールディングス 代表取締役社長・松尾智章氏
(株)松尾ホールディングス 代表取締役社長・松尾智章氏

 今回の挑戦に関して、松尾組の親会社である(株)松尾ホールディングスの松尾智章社長は、「多くの都市開発事業に携わるなかで、建物を建てて終わりではなく、将来にわたって地域の賑わいに寄与するようなまちづくりを手がけていくことが重要だと考えるようになりました。そうしたなかで、今回のJR陣原駅南口の市有地売却にともなう開発事業者の公募が実施され、社内で検討していたところ、しょうわ会さまと一緒に挑戦できる運びとなりました。その後、大英産業さまも参画されたことで住まいの提供も可能となり、『医・商・住』複合施設として内容の充実を図ることができました」とその経緯を話す。

まちの声に応じた開発と発展

 北九州市の高齢化率は30.6%(総務省公表「住民基本台帳に基づく人口、人口動態および世帯数(令和2年1月1日現在)」より)と全国の政令指定都市のなかで最も高く、今後も加速していくことが予想される。こうした現状に対しての視点も、市のまちづくりには欠かせない。

 「北九州市は福岡市と比べて交通網に課題があり、高齢者が1人で通院や買い物に出かけることは決して容易ではありません。今回の陣原駅前の再開発は、その立地から相応の交通利便性がすでに確保されており、健康維持のための病院、生鮮食品などの生活必需品を購入するためのスーパーなど、生活インフラを整備するには最適の場所です」(松尾社長)。

 市の特性を踏まえたうえで効率的に進められているJR陣原駅前での再開発。同社は主に商業施設や立体駐車場の建設に携わるが、地域への心配りに余念がない。

 「近隣エリアには、災害発生時に避難場所となるような施設が見当たりません。今回の『医・商・住』複合施設が、その役割を担えればと考えています。構想段階ですが、ほかにも考えていることは多々あります。毎日の生活に必要となるものを中心とした再開発を通じて、地域住民やそこへ通う人たちとともに、陣原に新たなエリア特性、付加価値を生み出していければと考えています」(松尾社長)。

 避けて通ることのできない高齢化社会。しかし、高齢者に「行動力がない」「購買力がない」というわけでは決してない。北九州市は、交通アクセスの良い地域に居住エリアを誘導し、医療施設や商業施設をその近接地にまとめるコンパクトシティ化を進めている。JR陣原駅前の再開発は、市のコンパクトシティ化を促進するものであり、地域再生の好事例となるポテンシャルを秘めている。

JR陣原駅
JR陣原駅

(つづく)

【代 源太朗】

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