2024年03月19日( 火 )

22年度、ついに延伸開業 地下鉄・七隈線が博多駅へ(1)

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新駅名は「櫛田神社前駅」に 感染症対策の新車両も導入

「博多の総鎮守」として親しまれる櫛田神社
「博多の総鎮守」として親しまれる櫛田神社

 天神南から博多までの延伸工事が進められている福岡市地下鉄七隈線で、建設中の新駅の名称が決定した。延伸区間の中間地点である博多区祇園町に開業する新駅は、「櫛田神社前駅」となる。また、「博多駅(仮称)」とされていた終着駅は、仮称が取れて「博多駅」となる。

 新駅名にもなった櫛田神社は、創建から1,200年以上の歴史をもち、古くより「博多の総鎮守」として信仰を集めている神社。市民からは“お櫛田さん”の愛称で広く親しまれているほか、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「博多祇園山笠」でも知られ、観光客をはじめ多くの来街者が訪れている。そのため、新駅の名称に用いることで、観光客などの利便性向上および地下鉄の利用促進につながることが期待されている。駅は、南北に長い特性を踏まえて、中洲川端および博多駅の両方向への利便性や回遊性の向上を図るため、改札口を中央部だけでなく、駅の両端にも配置。利用客にとってわかりやすく、使い勝手の良いレイアウトを意識した。開業後、駅の存在が市民や来街者に浸透し、利用が定着した際の乗降客数は7,000人弱(日)の見込み。

地下で建設工事が進む櫛田神社前駅
地下で建設工事が進む櫛田神社前駅

 一方の七隈線・博多駅は、空港線・博多駅よりさらに深い地下4階・5階部分に設置。ちょうどはかた駅前通りの地下、市道博多駅前線と交差する部分に位置しており、空港線までの乗り換え距離はそれぞれのホーム~ホームで約150m、JR線との乗り換え距離はそれぞれの改札口~改札口で約180mとなる。空港線への乗り換え利用者だけでなく、博多駅周辺を目的とする利用者の割合が多いと見ており、従来予想より利用者の大幅な増加が見込まれることから、七隈線ホームからコンコースの間のエスカレーターや階段、エレベーターなどの昇降設備を充実させ、ホームの混雑緩和や利便性向上を図っている。

 現在、延伸工事区間では土木本体工事や建築工事、軌道工事などの各種工事が進められているところで、これら2つの新駅を含めた七隈線の延伸開業は、2022年度を目指している。より具体的な開業時期については、工事の進捗状況に大きく左右されるため、進捗の見通しが立った段階で発表される予定だ。また、福岡市の地下鉄駅でお馴染みのシンボルマークについては、現時点では未定だが、駅名が決定したことを踏まえて今後検討が進められていく。

新車両「3000A系」外観(福岡市交通局提供)
新車両「3000A系」外観(福岡市交通局提供)

 これら七隈線の延伸開業に先駆けて、新車両「3000A系」の導入も予定されている。新車両の外観には従来のグリーンのラインのほか、延伸により七隈線が「空の玄関口」である福岡空港につながるイメージと、「希望の未来を示す、広く済んだ青空」をイメージしたスカイブルーを採用し、従来の車両からデザインを変更。車両内の手すりや座席に抗菌・抗ウイルス素材を使用するほか、乗客が触れる可能性のある箇所には抗菌・抗ウイルス剤をコーティングし、新型コロナなどの感染症対策が強化されている。また、出入口付近のスペースを拡大することで、スムーズな乗降と車両内での流動性向上を図るほか、シートや吊手、液晶式車内案内表示機などにユニバーサルデザインを導入するなど、利用者目線の利便性の向上が図られている。新車両は4編成増備され、先行2編成が21年9月下旬~10月上旬ごろに車両基地に搬入され、冬ごろから現車両17編成と併用して運行を開始する予定となっている。残り2編成は22年度に搬入・運用開始予定。

新車両「3000A系」内装(福岡市交通局提供)
新車両「3000A系」内装(福岡市交通局提供)

  

 一時は大規模な陥没事故の発生などにより事業の遅れを余儀なくされたが、新駅名や新導入車両の発表などにより、七隈線の博多駅までの延伸開業がいよいよ迫ってきたという実感が湧いてきた。まずは七隈線の概要や延伸事業のこれまでの経緯などについて、改めて振り返ってみたい。

(つづく)

【坂田 憲治/立野 夏海】

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