2022年05月24日( 火 )
by データ・マックス

さまざまな思惑、想定される複数のルート案 地下鉄空港線とJR福北ゆたか線は接続できるか?

ゆめタウン進出&バイパス拡幅 筑豊地区浮揚への期待

 さて本稿ではここまで、飯塚・筑豊エリアに端を発した地下鉄空港線と福北ゆたか線の接続に向けたさまざま動きや想定されるルート案、山積する課題などについて書き連ねてきた。もともとは、飯塚・筑豊エリアの地域浮揚策として始まった接続実現の動きも、今や糟屋エリアや福岡都市圏を巻き込みつつ、大きなうねりになってきている。

 飯塚・筑豊エリアでは、そのほかに注目すべき地域活性化に向けた大きな動きが2つある。1つは「八木山バイパス」の4車線化、もう1つは「ゆめタウン」の進出だ。

 八木山バイパスは、篠栗町から飯塚市をつなぐ国道201号のバイパス道路で、飯塚市にとっては福岡方面に向けての最重要な交通インフラの1つである。便利な反面、片側1車線しかないことで朝夕を中心に渋滞が頻発するほか、車線を塞ぐ事故が発生すると通過中の車両の身動きが取れなくなってしまうことが問題視されていた。それを解決すべく、福岡県からの要望を受けて国交省が19年3月に4車線化(片側2車線化)の整備を認可。翌20年4月から工事が始まっている。4車線化の開通は、篠栗IC~筑穂IC間で24年度、筑穂IC~穂波東IC間で29年度を目指しており、全線での4車線化が完了すると、飯塚・筑豊エリアと、福岡都市圏との結びつきがまた一段と強くなるだろう。

ゆめタウンが予定される飯塚市地方卸売市場跡地
ゆめタウンが予定される飯塚市地方卸売市場跡地

 ゆめタウン進出も、飯塚市にとっては明るいニュースの1つだ。今回、ゆめタウンが進出するのは、新設・移転のために閉場した旧・飯塚市地方卸売市場の跡地(飯塚市菰田西)。ゆめタウンを運営する(株)イズミ(広島市東区)は、20年11月に飯塚市と「大型商業等施設の立地に関する協定」を締結し、今年6月に飯塚市に対して提案書を提出した。それによると、敷地面積は約6万6,700m2で、市場の青果部と水産物部の両跡地の間を通る市道をまたぐかたちで、RC造4階建て・延床面積約9万6,000m2の施設を整備。直営店のほかに約90店舗のテナントが入るほか、飯塚市内初となるシネコンを併設しており、23年度中の開業を目指している。開業の暁には、地域活性化や賑わい創出、周辺エリアの開発促進などのさまざまな効果が期待されている。

 こうした新たな動きや、福岡空港との接続実現への動きについては、飯塚市内の企業経営者からも、さまざまな期待の声が挙がっている。最後に、いくつか紹介しておこう。

 「接続は飯塚にとっての経済効果が大きいと思います。これまで、飯塚から福岡空港に電車で行くには2時間は見ておかなければなりませんでしたが、接続によって大きく短縮されることが期待されます。遠方への出張がしやすくなることで、域外への企業流出、飯塚への企業進出を促す効果も小さくないのでは。また、ゆめタウン飯塚がJR飯塚駅の近くに開業予定ですが、接続と合わせて長年の懸案だった飯塚駅周辺の活性化に期待しています」(アストル税理士法人 代表社員・林田俊一氏)。

JR新飯塚駅
JR新飯塚駅

 「当社の最寄り駅・JR天道駅から博多駅までは、電車で40分程度と実は近いのですが、空港までの時間が短縮されれば、ほかの沿線駅も含めて魅力が再発見されるのではないかと期待しています。飯塚では空き家が増えていますが、反面で優良な中古住宅が多いともいえます。当社では古民家リノベに積極的に取り組んでいますが、市内には立地も悪くない、地型も悪くない好条件の古民家が豊富にあります。接続をはじめ、ゆめタウンの誘致などによって飯塚の良さが見直されることに期待したいですね」((株)ダイドー不動産 代表取締役・松本幸子氏)。

 「飯塚と福岡は、既存の交通インフラに加えて今回の接続計画、そして29年度に開通する八木山バイパス4車線化で、さらに時間的距離が縮まっていくでしょう。ゆめタウンの開業も飯塚に活気を呼び込んでくれると思います。福岡市中心部へのアクセスが良くなり、地域生活インフラも整備されていけば、筑豊地区にゆかりのない方の移住も増えてくるのではないでしょうか」((株)サンヨー建材工業 代表取締役・越智多見男氏)。

 「現在、飯塚市内で居住地として人気のエリアは、JR新飯塚駅の北側にある立岩小学校や飯塚第一中学校の校区です。文教地区として人気のこのエリアでは近年、新飯塚駅の東口でも数棟の分譲マンションが開発されると、売り出し後に即完売するほど居住ニーズが高まっています。一方でJR飯塚駅は、現在は駅前エリア一帯が衰退していますが、これからゆめタウンが進出することで、また盛り返してくれるでしょう。今後、福岡空港までの接続実現により両駅にさらなる人流が呼び込まれ、それが波及して飯塚市全体が活気づいてくれることを願っています」((有)坂口不動産 代表取締役社長・坂口隆氏)。

JR新飯塚駅の東口では新たなマンションが林立する
JR新飯塚駅の東口では新たなマンションが林立する

  

 長らく“絵空事”や“夢物語”と見られる向きだった、地下鉄空港線と福北ゆたか線の接続――。筑豊エリアおよび糟屋エリア双方の思惑の刷り合わせも含め、クリアしなければならない課題はまだ山積しているが、冒頭に述べたように県が調査に乗り出したことで、実現に向けての歩を着実に進め出したといえるだろう。今回、筆者なりの論を展開してきたつもりだが、いずれ出されるであろう県の調査結果の行方も気になるところだ。今後、接続実現に向けた動きがどのようなかたちで結実していくかはわからないが、両エリアを含めた広域の福岡都市圏にとって、明るい未来の到来を期待したい。

(了)

【坂田 憲治】

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、建設・不動産業界に関すること、再開発に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

記事の企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。

現在、業界に身を置いている方や趣味で建築、土木、設計、再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募はこちら(nagaue@data-max.co.jp)まで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連キーワード

関連記事