2022年05月19日( 木 )
by データ・マックス

さまざまな思惑、想定される複数のルート案 地下鉄空港線とJR福北ゆたか線は接続できるか?

長者原駅か、新駅か 最短か、迂回か

 さて、ここに至るまでの前段が少々長くなってしまったが、これまでに提示してきた各エリアの思惑や諸条件、新駅構想などを勘案して、筆者なりのルート案および新駅案を提示してみたい。なお、あくまでルート案の提示だけであって、県の調査業務の要件になっている建設コストや採算性、沿線地域活性化や経済波及効果などについては、言及していないのであしからず。

 県の調査業務では「6案の検討を行う」としていたため、筆者も6案を提示してみよう。地下鉄福岡空港駅とJR長者原駅とを結ぶ3つのルート案(A・B・C)と、地下鉄福岡空港駅とJR新駅とを結ぶ3つのルート案(D・E・F)の計6つだ。

ルートABC案
ルートABC案

ルートA案

 福岡空港駅と長者原駅とを最短・最速で結ぶルート。幹線道路である博多駅志免線の地下を通すことで、建設コストや工期を抑える。
 ルート途中の新駅は1つで、志免町別府北の池尻交差点近辺に「(仮称)空港東駅」を設置する。駅名は、福岡空港の東側に位置し、近隣店舗にも「空港東店」などの名称が見られることから名付けた。駅周辺には博多駅志免線沿いに商業店舗が軒を連ね、イオン福岡東ショッピングセンターやスーパービバホーム福岡東店などの大型商業施設もあるほか、周辺にはマンションや戸建などの住宅も多いことで、相応の利用客が見込まれる。

博多駅志免線
博多駅志免線

ルートB案

 福岡空港駅と長者原駅とを結ぶ際、南側に大きく迂回するコースをたどるルート。建設コストや工期はA案に比べて莫大になると予想されるが、その分、沿線への地域活性化や経済波及効果は大きいと思われる。ルート途中には、「(仮称)博多の森駅」「(仮称)志免中央駅」「(仮称)新南里駅」の3つの新駅を設置する。
 まず、(仮称)博多の森駅は、博多区の総合運動公園「東平尾公園」の敷地内、東平尾交差点近くに設置する。駅名は、東平尾公園の愛称「博多の森」から。周辺にはベスト電器スタジアム(博多の森球技場)や陸上競技場があり、サッカー観戦やスポーツ利用などで多くの利用客が見込まれる。
 (仮称)志免中央駅は、志免町役場の北側、大型商業施設・イオンモール福岡との間に設置する。駅名は、役場の所在する住所名から。周辺は粕屋町との町境だが志免町の中心部にあたり、役場や町民センターなどの公共施設が集積。また、イオンモール福岡の最寄り駅ともなることで、相応の利用客が見込まれる。
 (仮称)新南里駅は、福岡東環状線沿いの南里駅前交差点付近に設置する。駅名称は、かつて国鉄・勝田線が通っていたときに存在していた「南里駅」にちなんだ。なお、すでに駅はなくなってしまっているが、前出の交差点名やコミュニティバスのバス停名に「南里駅前」と残っているため、その“レガシーを受け継ぐ”という意味も込めた。

周辺一帯が「博多の森」の愛称で呼ばれる東平尾公園
周辺一帯が「博多の森」の愛称で呼ばれる東平尾公園

ルートC案

 ルートB案と同じように迂回しながら、さらにボタ山での再開発エリアも通るルート。B案よりもさらに迂回コースが長くなるため、接続による時短効果は低い。新駅はB案と同じ「(仮称)博多の森駅」「(仮称)新南里駅」の2つの駅に加え、(仮称)志免中央駅の代わりに「(仮称)新志免駅」の計3つを設置する。
 (仮称)新志免駅は、FECAによる未来環境都市の将来構想にあるように、ボタ山の南西部に設置する。駅名は、すぐ近くにあった国鉄・勝田線「志免駅」に由来。イオンモール福岡の最寄り駅となることに加え、ボタ山再開発による未来環境都市が実現すれば、相応の利用客が見込まれる。

ルートD案

 福岡空港駅と新駅とを最短・最速で結ぶルート。A案と似ているが、博多駅志免線の途中から新駅に向かって北東方向に伸びていくコースをたどる。新たに整備する鉄軌道の長さとしては、今回提案する6案のなかで最も短くて済む。新駅は、A案と同じ名称の「(仮称)空港東駅」を1つ設置するが、設置場所はA案に比べてやや北側になる。

ルートE案

 福岡空港駅と新駅とをB案と同じような迂回コースをたどりながら結ぶルート。B案に比べて福岡東環状線の地下を通る区間が長くなるため、建設コストや工期は多少抑えられると想定する。ルート内にはB案と同じく、「(仮称)博多の森駅」「(仮称)志免中央駅」「(仮称)新南里駅」の3つの新駅を設置する。各駅の概要はB案と同じ。

福岡東環状線
福岡東環状線

ルートF案

 大部分をE案と同じコースをたどりながら、C案と同じくボタ山を経由するルート。新駅はC案と同じ「(仮称)博多の森駅」「(仮称)新志免駅」「(仮称)新南里駅」の3つで、各駅の概要も同様。

ルートDEF案
ルートDEF案

  

 以上の6つが筆者なりに考えたルート案である。ただし、「あちらを立てればこちらが立たず」とあるように、いずれの案も前述した各エリアの思惑や諸条件などのすべてをクリアするものではない。あくまでも可能性として提示できるルート案である。

 ただ、こうしてルート案を提示してみても、両駅接続の実現のためには、他にもまだまだクリアしなければならない課題が多いのが悩ましいところだ。次は、これまでに触れていない課題の数々についても触れておこう。

つづく

【坂田 憲治】

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