フリーランスとして適正に働ける環境へ「一人親方問題」
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偽装一人親方の実態と改善
検討会の座長を務める芝浦工業大学建築学部建築学科・蟹澤宏剛教授は、検討会の冒頭に「フリーランスとしてやりがいをもって働く魅力は否定するものではない。そのような人たちがしっかりと報われるために規制を設け、業界に蔓延する認識の違いをはっきりさせなければならない。この偽装問題はダンピング受注の問題にも直結している」と述べた。
検討会は、適正な一人親方の定義案とともに、適正でない現況にある「偽装一人親方」の定義案を構成員の意見を基に、以下のようにまとめた。
「偽装一人親方」の定義
(1) 法定福利費等の労働関係諸経費の削減を意図して、雇用関係にあった労働者を個人事業主として請負契約を形式的に結んでいる。
(2) 特定の建設会社に専属従事し、労働日数や賃金を管理され、指揮命令を受ける関係にあるが、雇用契約を締結していない。
(3) 表向きは社員と呼び、たとえば会社のヘルメットやユニホーム、名刺などを支給しながらも、実態は、本人の希望などを理由として社会保険に加入せず、請負として扱う。
(4) 作業員名簿上は社員(雇用)としながらも、社会保険を適用除外扱いとして、雇用契約を締結していない。偽装一人親方問題への対策案は、複数検討されている。一人親方を使用する会社への聞き取りや雇用契約を結ぶように指導する、施工体制台帳の企業が加入している社会保険と作業員名簿の社会保険を照合などの企業側へ求めるものや、一人親方へチェックシートを配布・活用、リーフレットの配布など労働者側に直接呼びかけるものもある(図3)。
検討会では、「一人親方とはどういうものか」の理解が必要であるとした。リーフレットなどで一人親方と従業員の違いを明確化、労災・保険・社会保障に関するリスクや違いがあることへの理解を求める、チェックシートの活用、労働者か請負なのかを具体例を示し、自らの働き方がどちらに該当するのかなどが重要であるとしている。とくに30歳未満においては、偽装一人親方として働いている現状に気づかない場合もあるとして、周知を徹底して行うことが必要とした。
また、不適正な雇用関係を結んでいる企業に対しては、社会保険未加入問題のときと同様に、現場入場制限や法的措置の検討、強要労働への厳罰化などが必要となってくるとした。
実効性ある一人親方対策として、今後は職種ごとに一人親方の実態把握などを行いつつ、規制逃れを目的とした一人親方化対策、その他の処遇改善対策などを、引き続き検討会で議論するとしている。また、23年5月に施工されるインボイス制度の円滑な導入ができれば、労務環境改善につながるとして、周知徹底を行うとしている。
(了)
【麓 由哉】
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