横浜市が「空き家条例」 所有者不在で危険な空き家の一部を初撤去
-
危険な部分のみの撤去可能に
横浜市は、8月1日施行の「横浜市空家等に係る適切な管理、措置等に関する条例」(以下、空き家条例)に基づき、近隣住民への危険を防ぐため、所有者がいない空き家の剥がれた屋根や外壁の剥離など命や身体に危険がある部材撤去を初めて実施した。
空き家条例ができるまでは、所有者がいない、もしくは所有者の名前や住所がわからない空き家は私有財産であるため、倒壊や部材の剥がれなどで通行人に危険をおよぼす恐れがあっても、市が措置することはできず、定期的に観察して見守ることしかできなかった。だが、条例施行により、応急的に危険を防ぐ最低限の措置を市が実施できるようになった。今回、危険回避措置として部材の撤去が行われたのは、今にも道路に落下しそうな屋根などにより、通行人に怪我をさせる恐れがありながらも所有者がいない空き家2件だ。
1件目は、横浜市磯子区にある1966年築の2階建ての店舗・共同住宅。2019年、通行人に危険がある空き家が放置されていると近隣から相談があったといい、その後、管理不全で周囲に著しい悪影響をおよぼす恐れのある「特定空家等」に認定された。所有者調査を続けたところ、所有者と法定相続人は亡くなっており、市は法定相続人の一部が調査不能であると判断。今年8月に、2階の屋根材の剝がれている部分と2階の戸袋の板下地材と仕上げ材の脱落しかけている部分を撤去した。
2件目は、同じく磯子区の1975年築の2階建て住宅。14年、近隣から相談があり、所有者の居住地と思われる住所に改善通知文を市が送付したが、所有者からの連絡がなく、19年に特定空家等に認定された。所有者が書類上の住所に住んでいないことから、所有者の所在不明と市は判断。今年9月に、2階の屋根瓦の脱落しかけている部分を撤去した。
ここにzu3を挿入してください横浜市建築局の村上まり子氏は、「不特定多数の人が通る道路付近だったこと、所有者がいない空き家だったこと、今にも落下しそうな部材があり生命や身体に危険がおよぶ可能性が高かったことから、危険回避措置とした」と話す。
所有者がおらず、今にも崩れそうな空き家は最終手段として、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空き家法)により、略式代執行で市が除却できるが、空き家条例では、危険な部分のみを撤去できるため、近隣住民に危険がおよぶ前に早い段階で手を打ちやすい。一般的に、危険な部材の撤去費用は約30~60万円とされ、除却費用に比べてコストを抑えることが可能となる。
【石井 ゆかり】
- 1
- 2
月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。
記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。
企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。
ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)関連キーワード
関連記事
2024年3月28日 14:402024年3月21日 16:152024年3月16日 18:302024年3月25日 09:302024年3月6日 09:002024年2月21日 06:002024年3月29日 17:20
最近の人気記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す
- 業界注目!特集
-
産廃処理最前線
サステナブルな社会を目指す
- MAX WORLD監修
-
パーム油やPKSの情報を発信
パームエナジーニュース