2024年04月27日( 土 )

横浜市が「空き家条例」 所有者不在で危険な空き家の一部を初撤去

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空き家の適切管理が義務化

 今回の条例により、横浜市の空き家対策は強化された。空き家法では、所有者が樹木なども含めて空き家を適切に管理することは努力義務とされるが、空き家条例では義務化されている。そのため、空き家を相続した場合は、いかなる場合も所有者として管理責任が問われる。また、借地の上に空き家がある場合は、土地所有者に対して、空き家が周辺地域に悪影響をおよぼさないよう、建物所有者への改善に向けた働きかけを依頼できるようになった。さらに空き家法では、所有者への改善命令の段階で標識を設置するが、空き家条例では所有者への勧告の段階や、所有者がいない場合には、略式代執行の前に市が標識を設置することができる。標識を立てることで、注意して通ってもらうよう近隣住民に伝えるとともに、所有者がいる場合には、周囲の地域に空き家の危険が伝わるため、所有者の自主改善のきっかけにもなるという。

 横浜市の「18年住宅土地統計調査」によれば、市内の戸建住宅は62万8,400戸、そのうち使われる見込みのない空き家の「その他の住宅」は2万200戸。さらに「腐朽・破損あり」の空き家は6,400戸におよぶ。横浜市は比較的住宅や宅地が流通しやすいため、全国に比べて空き家率は低く、空き家問題はそれほど深刻化していない。一方、単身高齢者世帯が多く、将来的に空き家が増える可能性は低くない。

 「樹木が繁茂して隣地に越境している」「動物が住み着いている」「ゴミが散乱している」など、空き家に関する相談は年間500~600件が市役所に寄せられており、弁護士や建築士、不動産会社などの専門家を無料で派遣し、空き家の賃貸借契約や改修などを支援している。また、地域貢献施設などへの空き家活用に向けたマッチング制度も4月から開始した(今年8月末時点で、空き家の所有者登録5件、活動団体などの登録21件)。空き家条例により、所有者がおらず近隣に危険をおよぼす空き家への措置が進みやすくなることが期待される。

適切な管理が行われていない空家等の改善に向けた流れ(略図)

【石井 ゆかり】

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