2024年04月25日( 木 )

大名らしさ生かした「まちづくり」でREIT上場を見据え、私募ファンド組成へ

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村上ホールディングス(株) 代表取締役 村上 篤史 氏

まちの回遊性アップと憩い&賑わいの場の創出へ

 ――大名エリアでの物件取得を進めておられますが、その狙いは何でしょうか。

 村上 当社では今年1月に「花形館」、5月に「TR大名ビル」、8月に「ILP学園ビル」と「セントベーネビル」などを順次取得しており、10月末現在、大名エリアで15棟を所有しています。当社作成の大名エリア地主ランキングでは、現在3位につけています。

 大名エリアでの物件取得を進めているのは、この地に本社を置く企業として、「大名を盛り上げていきたい」という思いからです。当社が取得することで、物件の価値を高め、ひいては大名エリア全体の魅力を高めていきたいと考えています。

 ――具体的には、どのように進めていかれますか。

村上ホールディングス(株) 代表取締役 村上 篤史 氏
村上ホールディングス(株)
代表取締役 村上 篤史 氏

 村上 たとえば大名エリアの特徴の1つとして、並行する通りと通りの間の行き来がしにくく、回遊性が低いという問題があります。これは、敵からの攻め込まれにくさを意識したかつての城下町時代の町割が、今もそのまま残っているためです。そこで、当社が通りと通りをつなぐかたちで物件を取得し、1階に通り抜けできる通路を用意することで、まちの回遊性を高めていくことが考えられます。

 また、屋上テラスをパブリックスペースとして開放し、地域住民だけでなく、大名で働く人、遊びに訪れる人などが自由にくつろげる憩いの場を増やしていければと思っております。既存する商業施設に関しても、このような思想の元に建てられた施設については、積極的に取得するつもりです。さらに、いずれはフードホールをつくることで外国人旅行者が利用しやすい飲食店づくりも進めていきたい考えです。

 ――大名エリアでもファンド名義の物件が増加し、個人や一企業での物件取得が難しくなってきているように感じます。

 村上 当社でもパートナー企業と協力して私募ファンドを組成予定です。福岡は現在、全国でも抜群に注目度が高く、成長が期待できる都市と言われています。しかしながら東京と比べると、ビルの規模や入居企業の多様性において、まだまだ大きな差があると言わざるを得ません。そこでファンドのスキームを活用することで、福岡以外の資金を福岡に流入させていきます。私たちは“橋渡し役”ではないですが、そのような役割ができれば、大名をもっと発展させていけるのではないかと思います。

 ――私募ファンドの組成は、いつごろを予定されていますか。大名の物件だけで組成予定でしょうか。

 村上 22年1月か2月ごろに第1号ファンドを組成予定です。組入予定の物件は大名エリアに限定しておりませんが、大名は主要エリアと捉えています。まずは2棟からスモールスタートする予定です。その2棟から私募ファンドをスタートさせて、最終的にはJ-REIT上場を目指していきたいと思います。大型のビル1棟ではなく、小型のビルが集まったエリア全体が活気づいているまちは魅力的です。大名のようなまちは、全国にあるはずですし、そういったまちを盛り上げられれば。

 ――最後に、大名エリアへの想いをお聞かせください。

 村上 大名は、福岡市の中心部にあって、天神とも博多とも違う特異なエリアです。私見ですが、福岡の各エリアを東京に当てはめると、天神は渋谷になると思いますし、博多は東京駅近辺や新宿になると思いますが、大名は原宿や南青山、代官山に当たるのではないでしょうか。古きと新しきが混在する文化ありきのまちであり、若者が多く集う情報・文化の発信地であり、エリア全体の魅力で勝負するまち―それが大名だと思います。当社も大名に本社を置く地場企業として、これからも事業を通じて“大名らしさ”を追求し、まちの発展に貢献し続けていきます。

福岡のまちを東京に当てはめると…(村上氏作)

(了)

【文・構成:坂田 憲治】


<プロフィール>
村上  篤史
(むらかみ・あつし)
1984年1月生まれ。福岡県大野城市出身。学卒後、東邦ハウジング(株)に入社し、2010年に取締役に就任。先代の急逝にともない、14年10月に東邦ハウジングの持株会社である村上ホールディングス(株)の代表取締役に就任した。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:村上 篤史
所在地:福岡市中央区大名1-9-50
設 立:2012年9月
資本金:900万円
URL:http://murakami-holdings.co.jp

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