2022年06月30日( 木 )
by データ・マックス

【特集】これでいいのか産廃処理(3) ゼネコン(排出業者)・行政・産廃業者の闇

 大量の産業廃棄物(産廃)が排出される工事現場では、木くずや繊維くず、紙くずなどの安定型処分場では処分できない産廃が必ず排出されるが、危険で手間のかかる手順を省略してすべての廃棄物を安定型に持ち込むことが業界の公然の秘密となっているという。適正に分別処理している業者だけが「馬鹿を見ている(損をしている)」というのが現実だ。排出事業者もまた、中間処理業者が不適切な処分を行った場合は行政処分の対象となることを認識する必要がある。

実態とかけ離れた廃棄物処理の現状

 取材班が、福岡県の廃棄物対策課から「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」(令和元年度)を取り寄せて検証してみたところ、多くの中間処理業者が管理型処分場へ持ち込んでいない事実が浮かび上がった。

 たとえば中間処理業のA社(糟屋郡)は、埋立処理として1カ所にしか持ち込んでいない。もしこれが事実だとすると、「選別ライン」が義務付けられている中間処理業者にもかかわらず、回転型選別機(トロンメル)や振動式選別機などの選別ラインを稼働させると必ず生まれるトロンメル残さ(業界用語でアミ下・振い下)が発生していないという矛盾が生じる。

 トロンメル残さ(業界用語でアミ下・振い下)は安定型5品目に該当しないため管理型処分場で処分しなければならない。A社は、廃プラスチック類はすべて「宇部興産で再利用してリサイクル100%」と謳っているが、業界関係者によると「ありえない」ことだという。

 中間処理業のB社(大川市)は、木くずを埋立(管理型処分場)へ持ち込んでいるが、リサイクルの義務がある木くずをすべて管理型に持ち込んでいれば、リサイクル法(※)に抵触している可能性も考えられる。B社についてもトロンメル残さ(業界用語でアミ下・振い下)を持ち込んでいる実績が確認できない。

※:廃棄物を再利用していくことを目的に2000年に建設リサイクル法が制定されている。木くずの処理方法は破砕し、チップ化、直接埋立・単純焼却、燃料化、エネルギー回収も含む焼却、堆肥化などがある

 中間処理業者C社(福岡市博多区)の実績報告書には木くず、石膏ボードについての処分業者は記載されているものの、廃プラスチックや紙くず、金属などの処分業者名は空欄になっている。これでは正当な処分業者に持ち込んで正当に処分されたかがわからない。それにもかかわらず、行政はこの実績報告書を受理している。県環境部に問い合わせたところ「処分業者が空欄になっている場合は、自社で処理した場合やほかの中間処理業者に廃棄物を売却した場合が考えられる」という。

 ほかにもD社(宮若市)やE社(鳥栖市)など、管理型処分場へ持ち込んでいる実績が確認できない中間処理業者がある。また、管理型処分場へ持ち込んではいるものの、全体の処理数量に対しての管理型の割合が異常に少ないF社(佐賀市・小城市)、G社(久留米市・筑後市)、H社(久留米市・八女市)、I社(糟屋郡)などの業者も見受けられた。

安定型物と管理型物が一体となり、分別できない産業廃棄物
安定型物と管理型物が一体となり、分別できない産業廃棄物

“ある”はずのゴミが“ない”ことに~行政は黙認

 ほかにも「常識」とかけ離れた不審な点はいくつも存在する。たとえば、外壁材として使われる木毛板(削った木材とセメントを合わせて作られた建築資材)は解体後に木材とセメントに分けることは不可能なので埋立(管理型処分場)へ持ち込むしかないのが現状だが、ほとんどの業者が持ち込んだ実績はない。他にもモルタルが付着した石膏ボードや安定型物と管理型物が密着し、分別することができない産廃は多数ある。

 排出事業者は、事業活動によって生じた廃棄物を自らの責任において処理する義務が定められている。たとえ廃棄物処理業者に処理を委託した場合であっても、最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために“必要な措置を講ずる”ことが定められているのだ。

 中間処理業者が不適切な処分を行った場合は排出事業者も行政処分の対象となることを改めて認識する必要がある。産廃業界の常識では「ある」「出る」はずのゴミがなかったこととして処理されているのが現状であり、そうした違法処理を常態化させている最大の原因はゼネコンおよび排出事業者が適正な処理価格を支払おうとしないことだ。さらに行政の黙認という“お墨付き”を得て、こうした悪弊は放置されたまま改善されることがなかった。

 ゼネコンおよび排出事業者は中間処理業者のマニフェストを確認し、管理型搬出数量(処分量)を把握すべきはないだろうか。

【特別取材班】

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