2024年05月05日( 日 )

【ルポ】制限解除後の福岡・大名、賑わいポイントは「コト消費」

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西通りテナントはコト消費へ

 筆者がまちを歩いて回った印象は上記の通りだが、テナントビルの動向は、実際のところどうなのだろうか。50年以上、大名エリアを中心にテナント仲介を手がける不動産会社に話を聞いた。

 同社によると、「大名エリアで最も賃料が高いのは西通りの路面店。坪当たり5万円程度で高止まりが続いている」という。また、モノ消費よりコト消費の価値が高まるにつれ、テナントの内容が変わってきているとのことだ。考えてみれば、筆者もスマホを購入する際、端末の操作感やもたつきのなさなどは、実際に端末を触って確認した。そういった「体験」ができる店舗が増えてきたというのだ。SNSにアップしたくなる見映えの良いメニュー、スマホの使い心地、エステや美容クリニック、コスメのサンプルが使えたり、相談に乗ってもらえたりするのも「体験」だろう。

映えるメニュー
映えるメニュー

 モノ消費=物販で採算をとるためには、「宝石など単価の高い商材でないと難しくなってきた」とも教えてくれた。一方で、従来ならば百貨店に入るような店が路面店に流れてきていることもあり、とくに西通りは家賃高騰にも関わらず、路面店の空きは少ないとのことだった。

「韓国料理店」が人気

 先の不動産会社に、大名で元気な業界についてたずねると、「飲食店、とくに韓国料理店」と答えてくれた。そういえば、大名では韓国の人気チェーン店が進出して、今年1月のオープン当初は行列ができていたことが話題となっていた。韓国といえば、東京の新大久保がコリアンタウン化していて有名だが、大名で改めて韓国料理店を探してみると、筆者が見つけただけで約20件もあった。大名が「福岡の新大久保」になる日が、いずれ来るかもしれない。

 実際に行列ができていたのは、チーズハットグの店だ。テイクアウトの店だったが、受け取りのために店外に並んでいるのだ。不動産会社によると、「大名には公園がないので、テイクアウト店は従来苦戦してきた」のだとか。たしかに、地図を見ても公園はない。購入した人がどこで食べているのかを追跡すると、食べ歩きだった。座って食べる場所は必要ないようだ。

 また、大きな保冷バッグを背負った宅配の自転車をよく見かけるようになったが、大名のすぐ近く今泉の「ISLAND PLATE LUNCH 今泉店」店長・杉本氏によると、「テイクアウトは売上の約半分を占める」そうだ。 

ISLAND PLATE LUNCH 今泉店
ISLAND PLATE LUNCH 今泉店

 料理を注文してその場で画像を撮ってSNSにアップする「体験」と、公園などの座って食べられるスペースが少なくても、好きな場所から取り寄せができる「デリバリー」の2本柱で、大名は見た目以上に繁盛しているようだ。

(了)

【外部ライター・奥野 晃一】

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