2024年04月26日( 金 )

【日本経済を支える】建設産業だからこそデジタル化を~ANDPADが生み出す最効率(前)

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(株)アンドパッド
代表取締役社長 稲田 武夫 氏

 大型都市の再開発が首都圏や大都市を中心に行われ、国内の建設業界は商業・住宅ともに好調傾向にある。同業界は日本経済を支える基幹産業である一方、人材不足の問題などを中心に所得水準の低迷、ダンピングなどの課題も多い。国土交通省は諸問題解決に向け業界のDX化を推進している。クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を運営している (株)アンドパッド、建設業界のDX化に取り組む同社代表取締役社長・稲田武夫氏に話を聞いた。

(株)アンドパッド 代表取締役社長 稲田 武夫 氏
(株)アンドパッド
代表取締役社長 稲田 武夫 氏

    ──創業の経緯とこれまでの実績をご教示ください。

 稲田武夫(以下、稲田) 当社は2014年に2人体制から始まりました。最初に始めたのが、住宅の業界のリフォームの会社さんの検索サイト『みんなのリフォーム』です。このポータルサイトをつくったきっかけは、私自身がリフォーム会社をネットで調べるうえで、多くの情報が分散しているため、「リフォーム会社さんってすごく探しにくいな」と感じたことからでした。

 建設業とITをつなげるきっかけはポータルサイトでしたが、そこからいくつかの企業さまとお付き合いが始まり、集客のお手伝いや基幹システム作成の依頼などを受けるようになりました。それから約2年間は、とにかくITソフトウエアの受託開発が中心で、建築や設備、塗装、ハウスメーカー、デベロッパーなど実に多種多様の業界から依頼を受けていました。

 そのなかで、小規模な現場になるほど、アナログのシステムで動いている傾向にあると気づきました。そして、小規模な現場ほど経営者は、生産性向上に対して、投資しにくいということもわかってきました。

 状況を分析しながら、現場の方と情報を共有していくなかで「現場の管理を事務所に帰ってからしたくない。できるだけスマホで完結したい。」という要望に対し、15年の冬に開発したのが、今の施工管理のアプリ“ANDPAD”です。ANDPADは、今でこそ利用社数が13万社を超えておりますが、それはお客さまの要望に1つずつ誠実に対応してきた積み重ねで生まれた実績です。提供しているサービス内容や市場状況は変わっていますが、お客さまの状況や現場に合わせたサービス設計、対応への基本的な姿勢は変わっておりません。

 ──顧客のニーズや消費者目線の事業展開だったということですね。なぜ建設業だったのでしょうか。

 稲田 創業時から、社会の課題にあふれているところをデジタル化することで社会貢献する、というのが理念です。

 建設業界で働く方々と日々コミュニケーションを重ねていくなかで、建設産業がいかに日本を支えているのか気が付きましたと同時に、それだけの基幹産業にも関わらず、1人あたり賃金が高くなく、生産性も低いというデータも見えてきました。

(株)アンドパッド 代表取締役社長 稲田 武夫 氏    きっかけはポータルサイト開発や受託開発からの始まりでしたが、業界と深く関わっていく過程で「建設業界×IT」となる仕事を中心にどっぷりやってみようとなりました。もともとのニーズがあるとわかっていましたが、うまくIT化が進んでいない業界でもありました。当社としても、to Cでなく、to Bに向けたITサービスの展開を考えていたこともあり、この業界と深く結びついていきました。2020年に関しては、ゼネコンさま、サブコンさまのほか、内装設計など商業建築にまつわる企業さまから採用いただくケースが増えた年でした。

 建設業界のなかで、誰しもに自然想起されるようなデジタルカンパニーはないですよね。そのような会社にして行きたいと考えています。日本を支えている産業のデジタル化に取り組むことは、自分の人生を賭けるに余りある使命感を感じています。

 ──事業躍進の要因はどのような部分にあると思われますか。

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 稲田 主に4つあります。1つは、当社サービスの根本的な部分でもありますが、実に多種多様な人材が集まっていることがあります。建設業界でいえば、施工管理をしていた人、建築士の人、ハウスメーカーで営業されていた人などもおります。建設やIT業界だけでなく、各業界出身の人材が集まってくれていて、流通系の企業で生産管理していた人などもいます。多くの優秀な社員や各方面でご協力いただける方に恵まれていることが、サービスの質とお客さまの満足度に直結していると思います。

 2つ目がタイミングです。たとえば、事業を始めた2015年ごろは、スマートフォンがようやく一般に普及し始めるころでした。iPadなどのタブレットも、まだまだ受け入れられてなかったです。それは建設業界以外でもそうでした。しかし、そのタイミングで先行して取り組んでいたことは大きかったと思います。

 3つ目は、確固たるIT技術力をもった組織として技術能力の向上も継続できていることです。

 4つ目が、フォローする力です。これは先の3つが合わさったかたちでもあります。デジタル化に抵抗がない方やリテラシーが高い方ばかりではないので、フォロー・リードする力が重要です。これは人材・システム両面から実行していく必要があります。

(つづく)

【麓 由哉】


<プロフィール>
稲田 武夫
(いなだ たけお)
慶應義塾大学経済学部卒業後、(株)リクルートにて人事・開発・新規事業開発に従事。2014年(株)アンドパッド(旧・オクト)設立、「現場監督や職人さんの働くを幸せにしたい」という思いで、建築・ 建設現場の施工管理アプリANDPADを開発。スマートフォンを中心に、利用企業数13万社、ユーザー数33万人のシェアNo.1施工管理アプリに成長。全国の新築・リフォーム・商業建築などの施工現場のIT化に日々向き合っている。Forbes JAPANの「日本の起業家ランキング 2022」にて3位に選出。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:稲田 武夫
所在地:東京都千代田区神田練塀町300
設 立:2014年
資本金:63億593万円(資本準備金含む)
TEL:03-6831-4550
URL:https://andpad.co.jp/

(後)

法人名

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