福岡再開発2022　大規模プロジェクトが目白押し（前）

天神BC以降も続々と進む、天神ビッグバン（つづき）

ヒューリック福岡ビル

　不動産大手のヒューリック（株）が所有する明治通り沿いのオフィスビル「ヒューリック福岡ビル」も、高級ホテルを核とした大型複合商業ビルへと再開発される。

　「（仮称）ヒューリック福岡ビル建替計画」は、約1,450ｍ2の敷地に、地上19階・塔屋2階・地下3階の高さ約92mのビルを建てる計画で、用途はホテル、オフィス、商業など。建物コンセプトを「THE GATE」とし、天神地区への入口にふさわしい新たな賑わい拠点としての「GATE」を形成する。また、ホテル、オフィス、商業の異なる3つの用途の積層を照明計画などで表出させ、街に印象的な景観を創出。外壁パネルには、帯状に幾何学的な模様が連なるパターンを設け、陰影により表情を変える新たな街のシンボルを生み出していく。また、低層部および中層部には四季折々に花の咲く植栽を設けることで、まちに潤いを与える計画。同ビルの設計および施工は大成建設（株）が担当し、竣工は24年9月を予定している。

市役所北別館&MMTビル

　市役所本庁舎の北側に位置する「市役所北別館」では今後、建物を解体後に民間事業者による再開発を予定している。福岡市は21年7月、「北別館跡地活用事業」の事業者公募について、福岡地所（株）を代表企業とするグループ（構成企業：九州電力（株）、（株）九電工、前田建設工業（株）、（株）俊設計、（株）旭工務店、（株）サン・ライフ）を優先交渉権者に決定したと発表した。

　同グループの提案では、事業の基本方針を「アフターコロナの働き方に対応する、創造性向上に特化したワークプレイス」と掲げ、地上19階・地下2階の高さ88.45mのビルを建てる計画。地下1階～地上5階部分には入居企業や街全体でシェアできるゆとり・遊びの空間「アクセラリウム」を設けるほか、6～8階が内装付きオフィス、9～19階がハッカブルオフィス（ハーフスケルトノフィス）となる。事業期間は60年間で、開業は25年11月を予定している。

　こうして北別館が再開発に向けて一方で、隣接する大型ビル「メディアモール天神（MMT）」の再開発に向けては、思わぬ暗礁に乗り上げている模様だ。MMTビルでは天神ビッグバンを活用した再開発のため、解体工事に着工。既存ビルの大部分はすでに解体・撤去されているが、天神ビジネスセンターに面した北側の一部が解体されずに残されている。というのも、MMTビルと天神ビジネスセンターに挟まれた路地裏に立つ鉄骨5階建のビルが現存しており、同ビルでは2つの飲食店がいまだ営業中。このビルは接道していないため、現状ではMMTビルをすべて解体するわけにはいかず、再開発に向けての思わぬ障害となっているかたちだ。

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　これら以外にも、天神ビッグバンのエリア内では、22年12月の竣工予定で、九州初進出のラグジュアリーホテル「ザ・リッツ・カールトン」（ホテル開業は23年3月予定）を核とする「旧大名小学校跡地活用事業」が進行するほか、21年8月末に閉館した「イムズ」（天神MMビル）も再開発に向けた解体工事に着手している。さらに、天神2丁目の明治通り沿いに位置する、「天神西通りビジネスセンター」（所有：福岡地所）と「住友生命福岡ビル」（所有：住友生命保険）の2棟一体開発に向けての動きも進んでおり、26年12月末までの天神ビッグバンのプロジェクト期間内には、まださまざまな変化が起こりそうだ。

　なお、天神ビッグバンのエリア外にはなるものの、天神5丁目の須崎公園一帯では、約2,000席の大ホールを備えた拠点文化施設（24年3月の供用開始予定）の整備を含めた、公園全体の再整備が進んでいるほか、須崎公園の西側では、（株）タカラレーベンによるRC造地上23階建ての新築分譲マンション「レーベン福岡天神 ONE TOWER」（総戸数153戸、24年2月竣工予定）の開発も進んでいる。

【坂田　憲治】