2024年04月29日( 月 )

福岡再開発2022 大規模プロジェクトが目白押し(前)

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天神BC以降も続々と進む、天神ビッグバン

天神ビジネスセンター
天神ビジネスセンター

 21年9月末、天神ビッグバンの規制緩和第1号である「天神ビジネスセンター」が竣工を迎えた。同物件は、最先端の感染症対策を装備したオフィスビルで、ハイグレードな設備はもちろん、福岡にふさわしい遊びのあるデザイン、さらには高い利便性を兼ね備えた、新しい時代のワークプレイスとなっている。オフィスには、日本電気(株)(NEC)や(株)ジャパネットホールディングスなどの名立たる企業が入居。1階商業ゾーンには、世界的なアウトドアアパレルブランドで知られる「patagonia(パタゴニア)」が出店するほか、地下2階部分には22年春に飲食ゾーン「天神イナチカ」が誕生する。

 15年2月に始動した福岡市の再開発プロジェクト「天神ビッグバン」は、天神交差点から半径約500mの、約80haのエリアで行われ、規制緩和などによって老朽化したビルを付加価値の高い新たなビルへの建て替えることを誘導し、新たな空間と雇用を創出しようというもの。スタートから間もなく7年になろうとしているが、天神ビジネスセンター以外にも数々の大型案件が進行し、天神のまちは様変わりの真っ最中だ。

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福ビル街区建替プロジェクト

福ビル街区建替プロジェクト
福ビル街区建替プロジェクト

 西日本鉄道が天神ビジネスセンターのすぐ横で進めているのは、かつてあった「福岡ビル」「天神ビブレ」「天神コア」の3棟のビルを建替え、街区全体を1棟の大型複合ビルとして一体開発する「福ビル街区建替プロジェクト」だ。

 同プロジェクトは、約8,600m2の敷地に、地上19階・塔屋1階・地下4階の高さ約97m、延床面積約14万7,000m2のオフィス・商業・ホテルなどで構成される大型複合ビルを建てる計画。フロア構成は地下3・4階が駐車場、地下2階~地上4階部分が商業フロア、8階~17階部分がオフィスフロア、18・19階部分がホテルフロアとなるほか、6~7階部分にスカイロビー、5階部分に設備フロアを設ける。

 このうち、18・19階部分に入るホテルについて西日本鉄道は21年12月、(株)Plan・Do・Seeとホテルマネジメント契約を締結したと発表した。18・19階部分に全室バルコニー付きの客室41室を備えるほか、テラス付きサウナや中庭、ラウンジなども備える。レストランは、最上階の19階に博多湾を一望できるルーフトップバーやオールデイダイニングなどを設けるほか、1階部分の明治通り沿いにもカフェ・バーを設置。ほかに、6階部分に多目的ホールを設け、ブランド新作発表会やアートイベント、レセプションパーティなどの文化発信や交流の場を提供する。

 同プロジェクトでは、ホテルやオフィス、商業、コワーキングスペース、カンファレンスがシームレスにつながり、相乗効果を生み出すことで、コンセプトに掲げた「創造交差点」の実現を目指すとしている。21年11月には福岡市の「天神ビッグバンボーナス認定」を取得して容積緩和制度の適用を受け、21年12月に着工。現在、24年12月予定の竣工に向けて、開発が進んでいる。

天神一丁目北14番街区ビル

天神一丁目北14番街区ビル
天神一丁目北14番街区ビル

 日本生命保険(相)と積水ハウス(株)が共同で進めているのが、昭和通り沿いの「福岡三栄ビル」(所有:積水ハウス)と、その南側に隣接する明治通り沿いの「日本生命福岡ビル」(所有:日本生命保険)の2棟のビルを解体して一体開発を行う「(仮称)天神一丁目北14番街区ビル」だ。

 約3,050m2の敷地に地上18階・塔屋2階・地下2階建ての高さ約88mのビルを建てる計画で、主にオフィスや店舗が入居する予定。福岡市が進める「感染症対応シティ」の実現に向けて、オフィスの自然換気システムの導入をはじめとしたポストコロナ対応の安全・安心なビルにしていく。また、近隣にある福岡市赤煉瓦文化館や天神地下街のような、重厚で風格のある佇まいを次世代に継承する外観デザインを採用。地下鉄コンコースに接続する明治通り側の地上地下立体広場や、昭和通り側の地上広場には、ランドマークとなる壁面緑化や赤煉瓦文化館をモチーフとしたクラシカルな化粧壁、高さ8m以上のシンボルツリー、デザイン性の高いベンチなどを配置し、憩いや風格のある広場空間を創出していくとしている。さらに、明治通りから昭和通りをつなぐ新たな都市計画道路・天神通線と⼀体となった幅員8mのゆとりあるプロムナード(歩行者空間)を形成するほか、地上から地下までつながる壁面緑化を配置。緑と相性の良いレンガ積の列柱やプロムナードに面したカフェ、ベンチの配置などにより、来街者やオフィスワーカーが憩い、楽しめる空間を創出する。同ビルの設計は(株)久米設計が担当し、施工は(株)大林組が担当する予定。竣工は25年3月を予定している。

【坂田 憲治】

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