2024年04月19日( 金 )

減築をデザインする時代|再開発から見る「都市と建築」(2)

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官庁街の霞が関(東京都)
官庁街の霞が関(東京都)

「村」と「街」の再考、都市の定義とは

 これから再開発について考えていくにあたって、まずは都市の定義について考えなければならないだろう。再開発とは既存の都市空間の再定義であり、そこには住む人もしくは働く人の再定義が意図されている。再開発による人の入れ替わりを考えるにあたって、社会学者・小熊英二氏が示した指標が参考になる。小熊氏は簡潔に、「街を形成する人間のメンバーシップが固定化されている『村』と、それが固定化されていない『街』」とした。「街」は「都市」と読み替えてもいいだろう。

 都市とは村と違い、そこに関わる人間の層が幾重にも重なり、絶えずその構成員が変化している場所のことである。その層の数が多ければ多いほど、都市は大きくなり、人の流動性が増し、その都市が言及されることも増えていく。層にはいくつかの種類があり、行政の層・企業の層・社会の層などがあるだろう。北九州市に福岡県庁はない(庁舎はある)が、福岡市には福岡県庁があり、それだけ県庁職員が多くなる。国会のある東京には全国から国会議員が集まる。それに付随して、政党の本部なり官公庁なども整備され、専門職も集まっている。同じように、企業の本社が多い都市には、社長や役員なり意思決定をする人間が多くなる。お寺や教会の有無、中華街の有無、大学の有無なども同じように指標にすることができる。そしてそれらの層は単独で存在しているのではなく、互いに関連している。

 資本が集中する大都市であればあるほど、その構成員の国籍が多様になっていくのはどこの国でも共通している。そして福岡市の再開発政策も、この構成員の層を増やすことだと理解できる。再開発によってグローバルな企業を誘致し、海をわたって仕事をする人間の層を厚くし、国際的な拠点都市として福岡を再定義しようとしているのだ。


<プロフィール>
角 玲緒那 氏角 玲緒那
(すみ・れおな)
1985年北海道生まれ、札幌市立高等専門学校、九州大学21世紀プログラム、九州大学芸術工学府博士後期課程単位取得退学。専門は建築。現在は歴史的建造物の保存修復に従事する。

 

再開発から見る  
「都市と建築」(1)

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