減築をデザインする時代|再開発から見る「都市と建築」(2)
-
ハイラインに見る不動産価値の向上
つまり今、都市は平面的にも立面的にも、その様相を変えようとしている。再開発について考えるとは、この都市の様相が変わりつつある大きな変化の局面に立ち会うこととなるだろう。これからの再開発とは何なのか、枠組みを外して考えなければならない問題である。
そこで本連載では、ただフロアを増やすだけではない、既存都市の減築・低利用化も取り上げながら、建築のデザインまで考えていきたい。今最もホットな再開発とは、高度利用ではもうなくなってきている。自ずと、都市を自然環境に再び還すような開発行為も取り上げるだろう。
ニューヨークでは鉄道の高架跡に建物を建てずに植栽を施し、コミュニティにもサステナビリティにも貢献しながら、不動産価値を高めている事例がある。日本でも東京駅丸の内駅舎復元のように、使えるはずの容積率を譲渡して街区全体で価値を高める事例が一般的になってきた。他にもソフトではあるが街区の再定義には有効なエリアマネジメントといった手法もある。こういった国内外の事例を横断しながら考えていきたい。
再び都市の定義に戻るならば、これまでの再開発は「都市」化の顕著な事例であった。交流人口の層を増やし、人数を増やすことが目指すべき姿であった。しかし、今後来るべき低度利用・再利用の再開発は、都市を「村」へと戻すのか。もしくは再開発への木造の導入は「村」的な景観を招くのか。それとも「都市」でも「村」でもないものが出現するのか――。自ずと、都市と村の定義に揺さぶりをかけることとなるだろう。
(了)
▼関連記事リンク
再開発から見る「都市と建築」(1)天神ビッグバンによる再開発の新フェーズ
<プロフィール>
角 玲緒那(すみ・れおな)
1985年北海道生まれ、札幌市立高等専門学校、九州大学21世紀プログラム、九州大学芸術工学府博士後期課程単位取得退学。専門は建築。現在は歴史的建造物の保存修復に従事する。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。
記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。
企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。
ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)法人名
関連キーワード
関連記事
2024年5月2日 15:452024年5月2日 11:302024年4月30日 10:082024年5月2日 18:002024年5月2日 17:502024年5月1日 15:002024年4月25日 14:00
最近の人気記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す
- 業界注目!特集
-
産廃処理最前線
サステナブルな社会を目指す
- MAX WORLD監修
-
パーム油やPKSの情報を発信
パームエナジーニュース