2021年下半期 福岡市の開発動向、マンション供給戸数で博多区が台頭
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中央区、下半期失速も話題多い
21年上半期に続いて供給戸数は1,000戸を超えたものの、博多区、東区の後塵を拝する格好となった中央区。同エリアの強みは、岩田屋や三越などの百貨店から、中・小規模の専門店まで、多彩な店舗が林立する商業集積地であり、多くの企業が拠点を置くビジネスの中心地という地域特性にある。しかし、年々マンション開発用地の取得は厳しさを増しており、7~10月までの供給戸数は1,000戸を割り込んでいた。
注目される物件は、パチンコホール「ユーコーラッキー」などの運営で知られるユーコーラッキーグループの1社で、飲食店経営などを手がける(株)Helix Experienceが建築主の「(仮称)草香江2丁目計画新築工事」。福岡市地下鉄七隈線・六本松駅から徒歩10分圏内と交通利便性は高い。建築物の概要はRC造7階建て、延床面積2,900m2のワンルーム外14戸となっている。
23年3月に延伸開業予定の七隈線天神~博多駅間により、六本松を含む天神周辺エリアへの注目度はこれまで以上に高まりそうだ。
下半期の中央区は、共同住宅以外の開発が目立った。福岡市が主導する大型再開発事業「天神ビッグバン」の対象エリアでもある大名では、(株)明治産業や赤坂興産(株)がそれぞれテナントビル、オフィスビルを計画しているほか、Good Life&Travel Company(株)によるホテル開発も進行中。
コロナ禍でリモートワークや外出自粛が呼びかけられるなかで、一時は開発機運が低下していたビルやホテルだが、ワクチン接種が進み、経口薬の開発も進展している状況は、中断していた計画を再始動させる後押しになったはずだ。
市による規制緩和と民間の開発投資がうまく連鎖している天神エリア。この波及効果が周辺エリアに広がれば、前述の七隈線の延伸工事完了と合わせて、中央区全体が商圏としてさらなる飛躍をはたすことができるだろう。
南区、緩やかにまちづくりが進む
福岡市南区の供給戸数は、21年上半期と比較して380戸減となった。これまでマンション開発に関して堅調な推移を見せていた南区だが、同エリアでも開発用地の取得が厳しさを増している様子がうかがえる。
ただ、南区は高宮、大池、平和、大橋、長住、市崎などをはじめ、閑静な住宅街が多いエリアでもある。(株)トータテ都市開発九州などにより、戸建分譲は相応規模で行われているため、生活拠点としての人気は根強いものがある。注目される物件は、(株)日本エスコンと(株)LANDICが建築主の「(仮称)福岡市南区大橋二丁目新築工事」。建築物の概要は、RC造14階建て、延床面積12,781.25m2のワンルーム外140戸。
南区は西鉄天神大牟田線沿線に限れば、市中心部との交通アクセスも良い。駅前を中心に、今後もまちづくりは緩やかに進んでいくものと考えられる。
【代 源太朗】
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