2024年04月17日( 水 )

コロナ禍の学生の部屋探し

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リモート授業導入も、一人暮らしの割合変わらず

コロナ禍の学生の部屋探し イメージ    間もなくコロナ禍も3年目を迎えようとしており、大学の授業がリモート化して久しいが、新入生の部屋探しに変化はあるのか。リモート授業が一般化すれば、通学の必要性が薄まり、親元を離れて一人暮らしをする必要がなくなったのではないか――。

 西日本最大級のマンモス校・福岡大学の状況について、(株)学生情報センター・福大ヘリオス店に話を聞いた。「2021年4月入学の生徒について、大学がリモート中心の授業に切り替わってからも、一人暮らしを選ぶ新入生の割合にほぼ変化は見られない」(学生情報センター)のだという。また、「感染者数の状況によって、授業形式がリモートから対面に切り替わることもあるため、とりあえず一人暮らしを選んだという生徒が多い」と続ける。

 学生の地元占有率が半数を切るという、福岡教育大学はどうだろう。同学生協からは「以前と変わらない」と、福岡大学と同様の答えが返ってきた。比較的離れている実家から通学するにしても、公共交通機関を使って長時間移動することとなるため、そういった意味でも一人暮らしを選ぶ傾向があるようだ。多くの国立大学は、私立大学と比較するとリモート授業の実施には積極的ではないことが多く、通学できない距離ではないが、あえて一人暮らしを選択した学生も多いという。

 一方で、様子を見ながら時間をかけて遠方から通学している学生もいるというが、彼らが実家からの通学を選択した理由は何だったのだろうか。実家暮らしをしながら西南学院大学に通学している学生・村上さん(仮名・男性)に話を聞いた。

 村上さんの実家は朝倉市で、西南学院大学までは片道約2時間を要する。そのため、入学当初までは福岡市地下鉄・藤崎および西新駅の周辺で一人暮らし用の住居を探していたという。しかし、次第にリモート授業が本格化してきたことを受け、実家からの通学を続けることを選んだ。村上さんは、福岡市内の私立高校出身で、遠距離通学には慣れていた。しかし今となっては、たまの通学時間を負担に感じているという。

コロナ禍における新入生・新社会人の部屋探し

コロナ禍の学生の部屋探し イメージ    21年4月の新1年生、新社会人は、コロナ禍でどのような部屋探しを行ったのだろう。

 新1年生について、西南学院大学の生協からは「21年4月入学の学生が、オンラインで部屋探しをしたのは2割程度」と聞かれた。合わせて、同学の新入生10名にも聞いたところ、内見から重要事項説明、契約書記入までリモートで行った学生は3名だった。彼らは、家賃や駅からの距離など、大まかな条件で部屋を選んだという。

 新社会人についても10名に聞き取りを行った結果、リモートで部屋探しを行ったのは1人もおらず、現地で慎重に判断していることがわかった。半年前から部屋を探し始めたという佐々木さん(仮名・女性)は、大学時代に一人暮らしをしていたこともあり、じっくりと時間をかけて条件に合った物件を見つけることを選んだのだという。内見は親に付き添ってもらったそうだ。部屋の広さ、質感、防音性、日当たりなどは、リモートでは判断が難しい。また、「周辺の環境や駅からの距離感も、実際に現地に行って初めてわかるものがある」(佐々木さん)と話してくれた。

 ちなみに聞き取りを行った新社会人10名のなかには、「リモート勤務が可能な職場」という条件で就職先を探した人はいなかったことも興味深い。九州大学、北九州市立大学、九州産業大学の就職課やキャリアセンターに問い合わせても、そういった条件で就活をしている学生の話は聞かないという。コロナ禍でU・Iターン志向が強まっているが、リモート勤務の有無で職選びをするほどではないようだ。

【吉村 直紘】

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