【提案】箱崎キャンパス跡地を「グリーンフィールド」に(前)
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ごちゃ混ぜこそ都市
現代の都心は、巨大な箱ばかりの空間となった。都心部は今後も箱が連なっていき、どんどん1つの塊のように巨大化していく。いずれは都市性が消えていくのではないだろうかとも思える。都会化すれど、都市化は薄まっていく…。巨大オフィスビルや高層マンションが、まちの隙間をどんどん埋めていく。働く場所と住む場所と大きな広告で占有された消費場所しかなくなっていき、ごちゃまぜにはほど遠い、均質化されたつまらないまちになってしまうだろう。箱が好きな人は都心に行けばいいけれど、箱が嫌いな人はそこから逃げなければならない。新しいものを見つけたい人は、むしろ都心には居ないほうが良いような気さえしてくる。
近代的な都市計画は、住む場所、働く場所、商業地、工場地帯と細かく区分けした。戦後復興と高度成長期の稼働システムとしては、それが合理的で良かったのだ。ただ、成熟期に入った都市は、“住む・働く・商う”が混ざっていくことで、都市の魅力を高めることにつながる。自分が住んでいる場所が、自分にとっての都心であるという尺度、自分の周りに“都心という存在“を手繰り寄せていく意識、それが重要になってくるのではないか。
都市の魅力は、一言でいえば「自由である」ということ。今は住宅しかないけど、そこに「働く場所をつくりましょう」「遊ぶ場所をつくりましょう」「子育てできる場所、お店もつくりましょう」と、自分に必要なものを必要だと思っている人たちが関与して、つくっていく。国や行政に委ね続けるものではなく、市民自らが地域に溜まる場所をつくっていけば、分散した都市も個々に濃縮された魅力的な空間になっていくのだ。
九州大学箱崎キャンパス跡地/開発ポイント
・ 福岡市東区箱崎6丁目界隈(博多駅から自転車で15分圏内)
・ 約50haの広大な敷地(北エリア:20ha、南エリア:30ha)
・ グリーンフィールド型のスーパーシティ構想
・ 地下鉄箱崎九大前駅、貝塚駅、JR箱崎駅の3駅に囲まれる立地
(将来的には新駅も含めて4駅になる予定)
・ 箱崎中学校移転流入計画あり
・ 歴史(江戸~明治)
→唐津街道沿いの町屋・商家
→海岸松原沿いの漁村(国道3号線付近)
→農村・畑の点在
→筥崎八幡宮(西暦923年遷座)、寺社の鎮座
<プロフィール>
松岡 秀樹(まつおか・ひでき)
インテリアデザイナー/ディレクター
1978年、山口県生まれ。大学の建築学科を卒業後、店舗設計・商品開発・ブランディングを通して商業デザインを学ぶ。大手内装設計施工会社で全国の商業施設の店舗デザインを手がけ、現在は住空間デザインを中心に福岡市で活動中。メインテーマは「教育」「デザイン」「ビジネス」。21年12月には丹青社が主催する「次世代アイデアコンテスト2021」で最優秀賞を受賞した。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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