2024年04月26日( 金 )

【ウクライナ侵攻】理想主義は「お花畑」 維新・藤田幹事長が鈴木宗男を擁護(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
藤田 文武 幹事長
藤田 文武 幹事長

    ──(党の公式見解ではなくても維新副代表発信の)ムネオ日記に(ウクライナにも非があると)書いてあるではないか。

 藤田 議員のすべてのブログやツイッターなどが党の見解と捉えられるということか。私はそうは思わない。とくに今の話は歴史の捉え方や報道のされ方に対する鈴木宗男参院議員としての指摘、発信であり、一般論としていうと、戦争は敵と味方に分かれてやるもので、敵側と味方側で見え方はさまざまあると思う。その件について、鈴木先生は鈴木先生なりのいろいろな捉え方を発信されている。その表現について私たちが何かとがめたり、「止めろ」という筋合いはないと思うが、一方で、それを党の見解として格上げして、我々が声明に盛り込むかどうかは党の判断だから、党の判断はそうではないから「こういう捉われ方をする危惧はある」ということを私も足立議員も(鈴木)先生に話して、その点は認識してもらっている。

 一般論部分の戦争の二面性(敵と味方での見方の違い)については賛同できるが、ムネオ日記の内容を維新の党公式見解に格上げしなかったことには疑問だった。「ゼレンスキー大統領は善、プーチンは悪」と単純化した一面的報道が多いなかで、鈴木氏の指摘はロシア寄りすぎる面はあるものの、傾聴に値する情報を含んでいる。れいわ新選組が国会のウクライナ非難決議に反対したことを読み解くヒントになるともいえる。

 しかし維新は、鈴木氏の指摘を党見解に盛り込まなかった。「プーチン批判一色に染まった世論に迎合した」としか見えないのだ。大衆受けを最優先する維新と、批判覚悟で少数意見を訴えるれいわの決定的な違いともいえる。

 維新がロシアのウクライナ侵攻に便乗するかたちで、核共有議論を進めようとしていることについても藤田幹事長に質問した。

 ──核共有の議論について、安倍元首相と足並みをそろえているように見えるが、維新は「第二自民党安倍派」のような存在で、野党というよりも、自民党よりもタカ派の政党のように映るが、そういう捉え方で理解していいのか。

 藤田 (笑いながら)ご見解は自由にしていただいたらと思うが、安倍元首相がくしくも橋下徹さんの番組でのやりとりのなかで触れられたと私は認識しているが、「安倍さんが言ったから」とか、そういうことで私たちが(核共有の議論を)提言に盛り込んでいるわけではない。提言は、まずは停戦に向けた平和的外交努力、人道支援が短期でやるべきことであり、中長期には今の安全保障状況の大転換が起こる可能性を踏まえて、我々の安全保障のあり方をきちんと議論しようというのが方針であって、そのなかの各論として核共有や防衛費の話、それから憲法の問題。そういった各論はあると思う。

 先ほど「自民党よりも保守的(タカ派)」みたいな話、イメージがあったが、そう取っていただくのは自由だが、我々が思っているのは「自民党よりも現実主義、リアリズムに立脚した政治をやりましょう」「タブーや理想主義、そういうお花畑のような考え方を捨てて、厳しい現実に向き合った政治をやりたい」というのが我々のスタンスだから、何か保守寄りとかという切り口では考えていない。

長崎県知事選 大石陣営

 「鈴木氏のウクライナ非難発言」「核共有議論」に続いて、長崎県知事選の大石陣営の暴力的取材妨害(2月25日付NetIB-News「【長崎県知事選】大石新知事陣営による力づくでの取材妨害 これは暴力だ!」参照)についても藤田幹事長に聞いてみた。

 ──維新推薦の大石・新知事が誕生したが、その際に投開票日に大石陣営の選挙プランナー、大濱崎卓真氏に暴力的取材妨害を受けたと。万歳をやった会場の隣で谷川弥一衆院議員の囲み取材をしていたら、大濱崎氏に無理矢理引きはがされてスタッフと共に拘束され、長崎署に通報されて取り調べを深夜2時まで受けたが、こういう暴力的取材妨害について藤田幹事長の見解、受け止めをおうかがいしたい。(その時の様子は)動画でもアップし、記事にもなっているし、大濱崎氏が(大石候補が)当確を決めた後、県医師会館で起こした事件だ。

 藤田 その事実を承知していないのと、どういう前後のやりとりがあったのかも承知していないので、そのへんは無責任には発言を控えたいと思いますが、いずれにしても暴力的な行為は駄目だと思うが、その事案については承知していないのでコメントは控えたいと。

 無回答の状態だったため、ネット上で動画や記事を見ることができると強調したうえで、「(動画や記事を)見たうえで改めて見解をうかがいたい」と要請すると、藤田幹事長はうなずいた。次回の幹事長会見でどのような見解を述べるのかが注目される。

 安倍元首相と維新が足並みをそろえるのは、核共有議論の促進だけではない。憲法改正でも維新は岸田自民党よりも積極的。長崎県知事選に続いて石川県知事選(3月13日投開票)でも維新と安倍元首相は、元文科大臣の馳浩候補を支援することで一致している。今後も、第二自民党安倍派のような維新から目が離せない。

(了)

【ジャーナリスト/横田 一】

(前)

関連記事