2024年04月16日( 火 )

公共と資本のレイヤー|再開発から見る「都市と建築」(3)

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資本の借景・宮下公園

 その谷の端で、渋谷駅に向かって丸い屋根が口を開いている。渋谷区立宮下公園である。無骨な鉄のビルの上に公共の公園がある。もともと地上にあった宮下公園は、管轄する渋谷区がネーミングライツをナイキに売ったことが問題となり、訴訟にもなった。その公園が立体都市公園制度(※)を用いて、商業ビルの屋上に上げられた。

※2004年の都市公園法改正でつくられた、公共の都市公園を地上のみならず立体的に整備できるようにする制度(国土交通省「施策カタログ(案)[H20.3版]」)。

宮下公園
宮下公園

 宮下公園は商業ビルの上に持ち上げられて、1つの資本による公共空間の支配という問題から抜け出したようにも見えるが、公園にはスタバもあればホットドック屋もあり、緑の空間はそのままホテルのバーに接続する。そもそも公園に行くまでに、商業ビルのエスカレーターを通る必要がある。公共空間はそれら資本の借景ないし前景として機能し、相互に価値を高める、そんなレイヤー状の空間が見て取れる。

 ――そう考えると、渋谷駅再開発とも同じ空間性であるということがわかる。

こどもの城跡地

 さて、渋谷を抜け出して青山方面に坂を登っていくと、国連大学と青山学院大学が見えてくる。国連大の週末はいつもオルタナティブで、多国籍な出店がビルの前に並んで賑やかだが、その脇で、国立総合児童センター(こどもの城)のシンボルであり、岡本太郎氏が手がけたモニュメント「こどもの樹」がひっそりと首を垂れている。

こどもの城跡地
こどもの城跡地

 こどもの城は、厚生省(当時)によってつくられた児童施設で、大規模な反対署名活動があったものの、惜しまれながら2015年に閉館していた。その後もなかなか活用方針が定まっていないようである(東京新聞、22年3月9日)。

 都心の児童施設というと福岡の場合、今泉一丁目の「あいくる」がある。前身の中央児童会館は、私が学生のころ、子どものおもちゃ修理の手伝いで一時期通っていたことがある。こどもの城もそうであったが、子どもたちが屋上まで溢れている児童施設というのは、都心ゆえに非常に貴重であると思う。


<プロフィール>
角 玲緒那 氏角 玲緒那
(すみ・れおな)
1985年北海道生まれ、札幌市立高等専門学校、九州大学21世紀プログラム、九州大学芸術工学府博士後期課程単位取得退学。専門は建築。現在は歴史的建造物の保存修復に従事する。

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