2022年06月26日( 日 )
by データ・マックス

上海外資工場 険しい再稼働の道のり

上海外資工場 険しい再稼働の道のり

上海 工場 イメージ    コロナが依然猛威をふるう上海市で、ロックタウン一か月半、一部の企業が操業再開を認められている。地元政府によると、許可した企業のうち80%が活動を再開しているという。その現在の稼働状況を探ってみる。コロナの急襲を受けて、現地にあるテスラの工場もこの影響をかぶり、連続20日間以上も操業を停止してしまった。この影響は甚大だった。

 2021年、テスラ全社の半分以上を生産し、目下最大の設備を誇る上海工場は、世界での販売台数を150万台近くとするという2022年の目標達成に向けて、かなめとなる存在である。

8,000名従業員が工場で寝泊まり

 テスラは計画の実行に向け、地元政府の承認を得て4月19日にとりあえずの操業再開をはたしたが、従業員の3人に2人が自宅隔離ということでフル生産は不可能、コロナ前の生産を回復するのは到底無理な状態であった。

 また一方、サプライチェーンも不安定であり、1社でも問題が起きればテスラの生産にも支障が生じてしまう。

 しかしテスラからすれば、操業停止による悪影響のほうが深刻であり、再開に踏み切らざるを得ない状態だったので、苦しみながらも前進するしかなかった。

 工場内には宿泊施設などがないので、従業員は近くの団地などに寝泊まりしていたが、浦東地域がロックダウンしたことで、これらの従業員も閉じ込められてしまった。

 当初の発表ではロックダウン期間は4日間前後とされており、テスラは4月1日か2日には業務再開できると見ていたが、また新たな規制が敷かれ、それもかなわなくなった。
 4月16日の夜、ようやく業務再開の許可が下ろされた。

 上海臨港新片区の当局は、業務活動を支えるために工場に専任者を派遣し、会社の幹部とともに三日三晩にわたり準備を進め、テスラならびに仕入業者の従業員8,000人を工場に送り込むために、バスを何台も手配した。

 職場復帰をはたした従業員は、毎日朝に抗原検査を、夜にはPCR検査を行い、コロナ終息まで帰宅は許されない。

 宿泊施設がないので、会社から支給されマットや寝袋を使って夜を過ごした。ただ、シャワー施設や1日三食が提供されるほか、営業日には1人あたり最高で300元(約5,682円)、休日も100元の手当が与えられた。つまり毎週1900元(約3.6万円)が別途手に入ることになる。

 テスラは4月中に急速に生産を再開したが、結局一か月間での出荷台数はわずか1512台にとどまってしまった。

 5月に入ってからもかなりの生産状況を維持し、5月16日からコロナ前のペースに戻すとの決定も下された。

 ところが、雨漏りの影響からか仕入れ業者に感染が発覚し、5月9日からまた操業がストップした。
 ここ数カ月間で三度目の停産となってしまった。

ドイツBOSCHの上海工場が稼働も再開

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 ドイツのボッシュ。1886年にロバート・ボッシュ氏がシュトゥットガルトで設立し、自動車や新型交通技術、工業技術、日用品、エネルギー、建設技術手掛けている。

 上海ではコロナが再燃した3月中旬以降、業務を停止する企業が相次いでおり、ボッシュもその影響を受けていた。このところ感染が落ち着いてきたことから、地元の経済部門当局がボッシュも含む約2000社を対象に、二段階に分けて業務の再開を認めると発表した。 ボッシュ中国総裁の陳玉東氏は5月10日、現在の稼働具合について中国の「毎日経済新聞」に対し、「稼働割合は30%~75%で、製品や工場によってまちまちであり、はっきりとした割合はいえない。我々(工場)は、完全停止はしていないが、市場ニーズを満たせるだけの生産は無理だ」と語った。

 陳氏は、「自動車のサプライチェーンは極めて広範囲であり、大手のサプライヤーはほぼ市が発表した再開対象となっているが、末端の業者はおそらく対象外だろう。そうなるとこちらの生産に支障が出る。ある小さな塗料のメーカーは再稼働できず、それが生産全体に響いていた。後にいろいろと調整をはかりながら、ようやく再開にこぎつけた」。と陳氏は述べている。

 直接の納入業者40社余り、間接の業者100社以上を抱えているボッシュは、生産の確保に向けてサプライチェーンについて上海市当局と話し合いをした。現在は直取引業者のうち30社余りが稼働を再開し、それ以外の各社も続々と活動を始めている。

 陳氏によると、自動車のサプライチェーン稼働状況はまだ「小規模」という。「多くの工場がバブル方式での生産であり、数千人の社員が工場のなかで寝泊りしている状態なので、日々の運営に莫大なお金がかかる。それにほとんどが稼働率不十分であり、業界全体の生産量に響いている。5月の生産量は需要に追い付かないだろう。とりあえずチップについて、今年の後半によくなって欲しいし、そうなれば来年は完全に好転するのではないか」との期待を寄せた。

 いまだに緩和していない自動車用チップの品不足問題。上海のコロナで一段と悪化し、一部の自動車メーカーが製造中止に追い込まれている。


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