電動キックボードmobby普及の可能性
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本格運営から約1年が経過した電動キックボードのシェアサービス「mobby(モビー)」について、(株)mobby rideの代表取締役・安宅秀一氏に話を聞いた。
──mobbyを始めたきっかけを教えてください。
安宅 直接のきっかけは、当社のメンバーがアメリカにいった際に、電動キックボードのシェアリングサービスを実際に利用し、非常に便利だと感じたことでした。2018年夏ごろに社内で簡単な実証や調査を行い、新規事業の1つとして検討を開始しました。同年12月に福岡市の実証実験フルサポート事業に採択され、事業としてかたちが見え始めたため、19年6月に(株)mobby rideを設立し、事業を本格化させました。
──mobby定着の課題は、何でしょうか。
安宅 21年4月から、福岡市内の公道で実証を開始しました。特例を受けたうえで実証を行っているのですが、まだ多くの人に便利にご利用いただけているとはいえない状況です。
乗り物としては、現行法規制上、電動キックボードは「原動機付自転車」にあたります。政府の特例措置により、福岡市内はmobbyのみヘルメットの着用が任意となります。そのため、利用する感覚としては自転車が最も近い乗り物となるのですが、当然、利用には道路交通法が適用されます。
ただ、自転車利用についても道路交通法が遵守されているとは言い難い状況で、mobbyについても同様の課題が見られます。たとえば、「原則歩道を走ってはいけない」「一方通行を逆走してはいけない」といったような、本来の自転車のルールです。mobbyの実証実験を機会に、電動キックボード利用に際してのルール周知だけでなく、自転車や自動車なども含めた交通ルールの啓発が必要だと感じています。
──問題解決のために、取り組んでいることを教えてください。
安宅 これまでの当社の取り組みもあり、今年4月に道路交通法の改正案が可決されました。改正により、電動キックボードをはじめとする電動小型モビリティが、運転免許やヘルメットが不要となる「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」と位置づけられました。ただ、施行までは最大2年かかりますので、その間にルールを周知していく取り組みを強化していきます。また併せて、電動キックボードという乗り物への理解を深めていただく活動にも力を入れてまいります。
──シェアサイクルとの棲み分けは、どのようにお考えでしょうか。
安宅 乗り物としては「ほぼ」同じものと考えています。そのうえで、主に次の違いがありますので、利用者がそのときの状況に応じて使い分けるような世界になると思っています。
まず、最高速度が制限できることです。自転車は漕げば漕ぐほどスピードを出せますが、電動キックボードは設定した速度以上を出すことができません。次に、下り坂でスピードが出過ぎた際は、自動で減速するような仕組みがあります。そして、電動ですので疲れない、スカートでも乗ることができるなど服装を選ばないことなどです。
【外部ライター・奥野 晃市】
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