福岡再開発の目玉となるか好立地パチンコホール(後)
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大手ホールの生存戦略
ここまでの話を振り返ると、ホールに対して悲観的な将来像しか描けないようだが、明るい話題もある。パチンコの復権だ。規制強化によって1回の大当たりで得られる出玉の数が減ったのは前述の通りだが、大当たりが続く、いわゆる“連チャン”の継続率も上限65%に抑えられていた。この継続率に関する規制緩和が行われたことで、ホールには継続率90%超えの高継続機が次々に登場。ホールでの高稼働に貢献している。
ただ、パチンコ・スロット台の販売価格は値上がりが続いており、新台は1台50万円というのがザラだ。もはや資本力のある企業でなければ、ホール経営は難しい。そしてその資本力のある大手でも、ホール以外の収益基盤構築に余念がない。
たとえばマルハンは売上高(連結)1兆円超えの業界トップランナーとして知られているが、グループ会社を通じてビルメンテナンスや飲食事業、ゴルフ場運営やアセアン諸国での金融事業(銀行サービスの提供、投資促進支援)などを手がけており、事業領域は多岐にわたる。また、21年4月からは3つのホールカンパニーと1つの海外金融カンパニーからなる社内カンパニー制へ移行し、機動力の向上を図っている。
Dステーション運営のNEXUSグループも、飲食事業にネットカフェ・カラオケ事業、フィットネス事業や温浴事業と、幅広く事業を展開。今年4月には、コロナ禍で閉館した「桐生さらさの湯」(群馬県桐生市)を事業承継し、24時間フィットネスと天然温泉を楽しめる「ゆらぶ桐生」としてリニューアルオープンさせている。
所有不動産を売却して糊口をしのぐというのも1つの手だが、それではジリ貧だ。市場規模の縮小が避けられないなか、例に挙げた2社のように、異業種への参入を進めることで客層を広げていくことが必要になる。ホール事業においてはM&Aによる営業エリアの拡大、あるいは逆に営業エリアを絞ることで競合他社の出店余地をなくすドミナント戦略が、生き残るための主な手段になる。どちらも相応の資金力が不可欠であることから、行き着くところは結局、大手による市場の寡占化だ。
寡占化の過程で、撤退するホールの不動産価値次第では、競争激化で苦汁をなめる中小ホールにも、“まくり勝ち”の未来が待っているかもしれない。
(了)
【代 源太朗】
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