2024年04月19日( 金 )

世界に誇り得る縄文文化にハマった時~「縄文道」講演(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(一社)縄文道研究所 代表理事 加藤 春一 氏

 日本学ユニバーシティ(JU)が主催する日本文化の源流「縄文道」講演の第1回目として、「世界に誇り得る世界最古の縄文文化にハマった時」というテーマで、(一社)縄文道研究所代表理事・加藤春一氏によるオンライン講演が7月21日に行われた。加藤氏は、「縄文道は今の日本の在り方に大きく影響しており、日本復元のカギになります」と語る。

共生社会への舵を切る「縄文道」

 (一社)縄文道研究所代表理事・加藤春一氏は、商社・日商岩井(株)(現・双日(株))で資源ビジネスに携わり、30年以上前に西オーストラリアの代表として兼高かおる女史が世界一美しい町と評したパースに駐在していた。そのときに陶芸クラブで岡本太郎氏の「縄文土器論 四次元との対話」という文章に出会った。加藤氏は「岡本氏の視点にとても感激し、1989年に東京国立博物館で縄文土器と対面しました。縄文土器の神秘的で大胆な造形とダイナミックなエネルギーに圧倒され、縄文文化に魅せられました。縄文土器をつくった縄文人の在り方を探求するようになり、2016年に(一社)縄文道研究所を創設しました」と語る。その後、18年1月に特許庁から「縄文道」の商標登録申請が正式に承認された。

 「縄文道」とは、共生社会に根差して生きる道を示している。縄文文化には、すべての人類に共通する「普遍の道」がある。縄文時代は約1万年間、平和で自然と共生し、母性を尊重した平等な社会だったと言われている。縄文文化の「大和の道」の世界観は、「技術の道」「芸術の道」「武道の道」「倫理・道徳の道」となり、衣食住や武士道などの精神により、現代文化につながっている。加藤氏は「縄文道は今の日本の在り方に大きく影響しており、日本復元のカギになります」としている。

 縄文文化に至るまで、人類はどのような道のりを歩んできたのだろうか。約46億年前に地球が誕生し、約20万年前にホモサピエンスがアフリカから全世界に広がった。約3万8,000年前に、日本にホモサピエンスが到達し、旧石器時代を経て、日本独自の縄文文化が花開いた。

世界最古級の縄文土器

 縄文土器とは、縄文時代につくられた土器のことだ。米国の動物学者、エドワード・S・モースが東京都の大森貝塚で多くの土器を発掘し、この土器を「縄目のつけられた土器」と報告書に記したことがきっかけとなり、この英語が日本語に翻訳され、今では縄文土器と呼ばれている。

 縄文土器はさまざまな装飾性がなされていることが特徴だ。縄文土器は縄を転がしたり、棒や竹のようなもので土器の表面を引きずったり、縄や貝殻などを押し付けたり、粘土のひもや粒を土器に貼り付けたりすることで立体的な文様がつくられている。縄文土器は、旧石器時代の狩猟生活から定住生活に移行する時期に発明され、食料や水の貯蔵、食料の煮炊き、子どもの棺桶などに使われた。

(つづく)

【石井 ゆかり】


<プロフィール>
加藤 春一
(かとう・はるいち)
(一社) 縄文道研究所 代表理事・(株)APIコンサルタンツマネージングパートナー。1944年満州大連にて日本の陶祖 加藤藤四郎景正の末裔(23代)として生まれる。1968年上智大学経済学部卒業後 大手商社・日商岩井にて資源ビジネスに30年間従事。西豪州代表、ベルギー・ブリュッセル製鉄原料部門欧州代表、この間5大陸56カ国訪問。1998~2016年、東京エグゼクティブ・サーチ勤務(2000年から2008年まで社長)、世界のサーチファームITPグループ日本代表。2016年(一社)縄文道研究所創設 代表理事に就任。明治大学公開講座講師(2015年~)元上智大学客員講師。著書として、『能力Q セルフプロデュース』(ビジネス社)、『グローバル人財養成塾』(生産性出版)、『世界一美しいまち―オーストラリア‐パースへのいざない』(「国会図書館永久保存版」。

(後)

関連キーワード

関連記事