2024年05月19日( 日 )

中国新エネルギー車は過剰生産に?

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電気自動車 イメージ ここ数年、中国の新エネルギー自動車産業が加速的な発展を遂げた。2021年の中国の新エネ車の累計販売台数は前年比1.6倍増の352万1千台に上り、7年連続で世界一だった。

 そのうち、中国ブランドの新エネ乗用車の販売量は247万6千台で、新エネ乗用車販売量全体の74%を占めた。技術力がさらに高まり、BEV乗用車の平均航続距離は2016年の253kmから21年は400kmを超えた。輸出がブレークスルーを達成し、2021年の新エネ車輸出量は同3倍増の31万台に上り、それ以前の輸出量の合計を上回った。

 中国の乗用車市場情報聯席会の統計によると、2022年第1四半期(1~3月)、新エネ車の販売台数が前年同期比146%増と、激増した。

外資企業もEV車種の投入

 新エネルギー化について中国国産車種に比べて出遅れている合弁メーカーが、路線転換を目指して続々とEV車種の投入や生産拡大を進めている。

 BMWは6月23日、総工費150億元(約3,074億円)の中国の新工場Lydia(里達)が操業を開始したと発表した。BMW3カ所目となる中国の車両工場で、これにより中国での年産台数が2021年の70万台から83万台に増える。Lydiaで最初にライン才フするのは、ミドル系スポーツタイプの電気自動車(EV)「BMWi3」である。

 BMWのほか、広州ホンダもEV専用の新工場を稼働させており、2024年には年産12万台となる見込みである。中国の新エネ車は今、大規模な急速発展の新たな段階に入りつつあるところだ。

 しかし、新車の価格は値上がりし、原材料が高騰するなか、新エネ車の販売台数が激増しているのはなぜなのだろうか?新エネルギーをめぐる競争が激化しているため、将来的には過剰生産に陥ることはないのだろうか?

 上記の問題について、乗用車市場情報聯席会事務局長・崔嵬樹氏、川財証券の新エネルギー業界首席アナリスト・高翔氏、光大証券の電力設備・新エネルギー業界の首席アナリスト・殷中枢氏が分析した。

 崔氏は、「新エネ車が急成長しているのは、新エネ車市場が2021年以来、市場化へのモデル転換を実現しているのが原因だ。ニーズ全体は市場の原動かであるため、製品の供給は現在の市場のニーズにマッチしている。4月を見ると、中国の複数の地域が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一部の地域では生産が停止し、さらには輸送が停止するケースも生じている。しかし、新エネ車の注文は依然として活発さを見せている」とした。

過剰生産は値下げを促進する

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 高氏は、「新エネ車は近年、車体は非常に豪華で、搭載される電子機器が非常にバラエティーに富むようになっている。製品力の向上自体も新エネ車の急成長のカギとなる要素だ。完成車の技術のレベルを見ると、運転の性能、航続距離の向上などにより、新エネ車は化石燃料を必要とする従来の自動車と乗車体験がほぼ変わらなくなってきており、むしろ上回っている新エネ車さえあるほどだ」との見方を示した。そして、消費者の日常的な使用という観点から、「新エネ車は、原材料の高騰により、価格が上昇しているものの、その電気コストは化石燃料を必要とする自動車のコストよりはるかに低いのも、新エネ車の販売台数が最近絶好調となっている原因の1つだ」と分析した。その他、新エネ車の過剰生産については、「市場に解決してもらえばいい。市場における消費者の選択を通して、一部の生産能力の劣るメーカーはふるい落とされ、競争を勝ち抜いた生産能力の面で優位なメーカーはどんどん成長するだろう」とした。

 殷氏は、「新エネ車は製造業界に属する。製造業界は競争の最後の段階になると、過剰生産は避けられない。それは、『周期的な変動』と呼べるのかもしれない」と指摘する。

 また、「過剰生産は値下げを促進する。現在の新エネ車の市場化の過程で、新エネ車は化石燃料を必要とする従来の自動車と価格が比較される。とくに10~20万元(約200~400万元)の価格帯で比較される」と、過剰生産は必ずしも悪いことではないとの見方を示した。

 さらに、「企業が競争の過程で勝ち抜くためには、市場に託さなければならない」としたうえで、「1つでも多くのメーカーが市場に適応し、市場で十分な競争を行い、自社のコア競争力を示さなければならない」との見方を示した。


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