賃貸住宅の修繕積立金が損金に

三好不動産、新自社ビルの狙い

　9月1日、不動産管理・（株）三好不動産（福岡市中央区）は、博多区吉塚に新施設を開業した。新たに開業するのは、賃貸仲介店舗「三好不動産 吉塚店」、売買仲介店舗「三好不動産 吉塚売買センター」、オーナー向けショールーム「0パーチ（ゼロパーチ）」など。これらは、7月に竣工した同社の自社物件「フェリクス吉塚」の1階および2階部分に入る。9階建てのフェリクス吉塚は、3階から9階が住居フロアとなる。

所　在　地：福岡市博多区吉塚2-1-10
構造・規模：鉄筋コンクリート造・地上9階建
総　戸　数：44戸（1LDK住戸42戸・テナント2戸）
設計・施工：上村建設（株）

　2階のゼロパーチでは、大規模修繕や内装リフォームの実績を掲示しており、賃貸物件オーナーの課題解決を提案する。同社が力を入れるのが、賃貸住宅の大規模修繕だ。同社は、福岡都市圏で3万8,231戸（2021年10月時点）の賃貸物件を管理する不動産管理のパイオニアで、同社の代表取締役・三好修氏は業界の要職を歴任してきた。その三好不動産が中心となって推進してきたのが、「賃貸住宅の修繕経費化」だ。

賃貸住宅業界の悲願

　21年11月、賃貸住宅修繕費にかかる共済制度の認可が下りたことが発表された。共済制度により、分譲マンションの長期修繕計画と同様、賃貸住宅の修繕費を共済の掛金として全額損金算入できるようになる。

　共済は、全国賃貸住宅修繕共済協同組合（東京都中央区）が提供する。全国賃貸管理ビジネス協会（同）、（公財）日本賃貸住宅管理協会（東京都千代田区）、（公社）全国賃貸住宅経営者協会連合会の会員が代理店となって、オーナーに共済制度を紹介していく仕組みだ。

　共済の対象は現在、屋根（屋上）、外壁のみが対象となっているが、今後は給排水管、専有部の空調設備や水回りなどへの拡充も期待されている。三好不動産では、6月までに共済の代理店業務を開始しており、「手応えを感じている」（三好不動産）と意気込む。

　共済を活用するには、代理店経由で共済に加入する必要がある。全国賃貸住宅修繕共済協同組合によれば、福岡県内の代理店事業者は8社（22年8月末時点）。三好不動産、三和エステート（株）（福岡市博多区）、ハッピーハウス（株）（福岡市博多区）、（株）ジョイフルマネージメント（北九州市八幡東区）、（株）オクゼン不動産（春日市）、粕屋殖産（株）（糟屋郡粕屋町）、（株）みずほ不動産（福岡市博多区）、（株）イーコムハウジング（福岡市西区）が、現在代理店となっている。

【永上　隼人】