2024年02月29日( 木 )

県調査は全ルート赤字、地下鉄と福北ゆたか線の接続可否(後)

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すべてのルートが赤字、厳しい収支採算性予測

 運行本数については、既存線の現況運行本数を維持しつつ、接続線は線路容量の範囲で乗入する「ケース1」と、既存線と接続線の合計本数を現況運行本数と同数とする「ケース2」との2パターンで、需要予測や収支採算性を算出している。

 開業年度については、準備期間約9年、建設期間を約10年とし、2040年度の開業を設定。需要予測については、2045年時点での福岡県の総人口を約455万人(社人研「日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)」に基づく)と推計するほか、都市における人の移動に着目した「第5回北部九州パーソントリップ調査」(17~19年度にかけて福岡県が実施)を基に予測。収支採算性の算出期間は、国土交通省の基準である「開業後40年間」で、接続線(新設区間)の運賃は200円(JR九州並み)、300円(福岡市地下鉄並み)、400円(西鉄バス並み)の3つの運賃で算出している。

 その結果、Aルートの需要予測は、ケース1で1万5,200~1万6,500人/日・往復、収支採算性は200~560億円の赤字に、ケース2で1万2,900~1万4,000人/日・往復、収支採算性は320~640億円の赤字となった。

 同様に、Bルート・ケース1の需要予測が1万5,700~1万7,000人/日・往復で、収支採算性は680~1,080億円の赤字、Bルート・ケース2の需要予測が1万3,500~1万4,700人/日・往復で、収支採算性は830~1,160億円の赤字。Cルート・ケース1の需要予測が1万4,400~1万5,700人/日・往復で、収支採算性は150~470億円の赤字、Cルート・ケース2の需要予測が1万2,100~1万3,300人/日・往復で、収支採算性は260~550億円の赤字。Dルート・ケース1の需要予測が1万5,300~1万6,700人/日・往復で、収支採算性は660~1,060億円の赤字、Dルート・ケース2の需要予測が1万3,200~1万4,500人/日・往復で、収支採算性は810~1,140億円の赤字という試算が出ている。中間駅を設置するルートのほうが多くの需要予測が見込める一方で、距離が伸びる分、概算事業費は高額となり、収支採算性は大きくマイナス予想となっている。今回の調査結果では最も赤字額が少ない試算のCルート・ケース1でも150~470億円のマイナスで、すべてのルートおよびケースで開業後40年間の収支採算性が赤字予想となる、厳しい結果となった。

 一方で、接続による波及効果としては、新設区間の建設投資にともなう効果がAルート・1,810億円、Bルート・3,020億円、Cルート・1,520億円、Dルート・2,900億円と出ており、それぞれ最小7,800人~最大1万7,300人の雇用者の誘発も見込んでいる。2つの新駅が設置されるBルートとDルートでは、主に駅周辺での住宅等投資効果も算出しており、いずれも510億円。また、新駅整備にともなう効果は年間19億円を見込んでいる。

 なお福岡県では、今回の基礎調査は設定条件の変更によって数値が変動するものであり、今後議論を深めていくためには、運行ルート(経路、地下・地上区間等)および工法等の精査や、国・地方・事業主体の費用負担割合や事業主体の資金調達方法の検討、需要量の拡大に向けた利用促進策の検討など、種々の精査・検討が必要であるとしている。

【坂田 憲治】

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