長浜再開発で注目、海辺空間「ベイサイド北天神」(2)
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港の修築工事が進むも 戦時下で計画ストップ
36年11月には、博多港第二期修築工事が着工した。第一期修築工事で設置された防波堤を東に100mおよび西に556mに増設するほか、浚渫によって防波堤外の航路を延長2,300m、幅員200mまで拡張し、港内の泊地(※)を7mから8mの水深にするとともに、その面積を拡張した。これによって生じた土砂は、すべて箱崎および西公園の下に運んで埋立地を造成。また、小型船舶の停泊地である長浜船溜と須崎貯木場を新設するため、長浜と須崎の両方面に延長600mの波除堤が設置された。第二期修築工事は、42年3月の竣工まで5カ年が費やされ、総工費288万円が投じられた。
※泊地(はくち):港湾内において船舶が安全に停泊または荷役を行うことができる水面のこと
なお博多港は、37年の日華事変(日中戦争)などを契機にその重要性を認められ、39年4月に第一種重要港湾の指定を受けている。そして同時期に、福岡市では博多商工会議所(福岡商工会議所の前身)と一丸となって、10年の歳月と5,000万円の予算をかけた博多港の一大整備計画の検討が進められていた。同計画は39年6月に「博多港を国策的に修築」する請願書として、企画院総裁と内務大臣宛に送られた。一方で、この福岡市の計画とほぼ同様のものが、政府への請願の前にすでに鉄道省によって検討されていた。それによると、第二期修築工事に引き続いて、箱崎浜から海の中道に至る博多港一帯を対象として、香椎を工業港、箱崎を商業港に設定。飽和状態の下関からの釜山航路を箱崎から1航路増設することで解決を図るとともに、香椎から箱崎埋立地を経由して博多築港に引き込む大臨港鉄道によって、筑豊および粕屋炭田からの大量輸送にも対応させるというものだった。
こうした検討を受けて、42年4月に臨港鉄道の仮設工事が着工するとともに、同年5月には博多港第三期修築工事の計画が策定。臨港鉄道は日本国有鉄道建設史上でもかつてない勢いで敷設され、香椎駅から多々良川をわたって箱崎浜を通り、臨港線約7kmが同年7月には博多港へつながり、中央ふ頭の東側の一角に新たに「博多港駅」が開業した。同駅の完成により、鉄道省営による博多~釜山新連絡航路も開業。こうして戦時体制下ではあったが、博多港の機能・役割はますます高まり、一般貨客を含めた輸送が活発に行われていた。
だが、戦局の悪化にともなって物資の統制が強いられるようになると、釜山との航路もそのほとんどが軍隊と軍需物資の輸送で占められるようになり、第三期修築工事の進捗も阻害。45年5月には博多港に機雷が投下されて機能不全に追いやられたほか、同年6月には福岡大空襲によって市の中心部の繁華街をはじめとした主要な地域は、そのほとんどが焦土と化した。このとき、福岡市にようやく芽生えつつあった重工業も一瞬にして崩壊したほか、博多港の陸上施設も全滅。第二ふ頭建設を中心とする第三期修築工事も、中止を余儀なくされた。
(つづく)
【坂田 憲治】
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