2024年05月28日( 火 )

長浜再開発で注目、海辺空間「ベイサイド北天神」(3)

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戦災復興の進行とともに、臨港鉄道・卸売市場も整備

(左)長浜の臨海部には市場施設が集積、(右)福岡市中央卸売市場鮮魚市場
(左)長浜の臨海部には市場施設が集積
(右)福岡市中央卸売市場鮮魚市場

 戦後の45年10月、博多港が引揚援護港に指定されると、中央ふ頭が引揚者の上陸場所になった。港内の倉庫4棟・約3,360m2や事務所1棟・約117m2、土地・約5,100m2などが国に借り上げられて、引揚者の応対に当てられた。このとき迎え入れた引揚者は約139万人で、同時に朝鮮人や中国人など約50万人が博多港から出国したとされている。47年10月には連合軍総司令部(GHQ)の日本政府に対する覚書によって貿易港に指定され、同時に海港検疫所が設置された。49年5月には米国極東海軍司令部第17掃海隊の手によって、港内の機雷の掃海が完了。同年6月に国際港として、開港安全宣言を行った。

 この間、福岡市では学校や住宅、道路などの民生安定のための事業を進める一方で、財政逼迫と資材難のなかでも運輸省の協力を得て戦災復興に重点を置くかたちで、泊地やふ頭前面の浚渫、岸壁および上屋、クレーンの復旧、沈没船の処理、防波堤の補修といった、博多港の整備・復旧に着手。また、戦時下で中止となっていた長浜船溜波除堤の延長および増築工事と、防波堤外の航路の土砂の浚渫を行い、水深を掘り下げるなどの船溜の整備を行った。さらにこれらと並行して、築石町(現在の港1~3丁目、舞鶴1~3丁目など)沖合の繋船岸壁および埋立地の早急な完成を期して、48年度から工事に着手。この築石岸壁は49年度までの2カ年で、岸壁100m(水深4m)、物揚げ場166m(水深2.5m)、護岸57m、埋立地1万3,616m2が、総工費5,760万円をかけて完成。これが現在の博多漁港の基礎となっている。

 50年6月に朝鮮戦争が勃発すると、軍需を中心とした各種物資の需要急増による国内製造業の急成長が始まり、海運業界も緊急輸送によって活況を呈した。開港安全宣言を行った博多港もにわかに活性化し、外国貿易船の姿も見られるように。また、50年5月に制定された港湾法により、それまでは国の造営物であるとの位置づけだった港が地方に委ねられることになり、51年には博多港を重要港湾に指定。52年には福岡市が博多港の港湾管理者に指定された。ここから近代港湾としての本格的な整備に向けて、初めて長期計画が策定されることになった。

 53年3月には、米軍に接収されていた中央ふ頭上屋が全面的に返還。さらに54年には福岡市が、長浜埋立地約13万5,000m2を取得した。これは、終戦直後の45年11月に大浜の博多船溜に基地を設けた米駐留軍が接収代替施設として、博多漁港陸域東側法線より東部の岸壁215mと同敷地用地を造成していたことにともなうもの。なお当時、福岡市は中央ふ頭および博多船溜の狭隘化に対応するため、総工費約9,300万円で52年度から54年度までの間、長浜地先埋立護岸工事(埋立約3万6,000m2、敷地5,250m2、万町幹線下水道156.8m、物揚げ場200m、中部幹線下水道144m)を実施した。これらの用地には56年に道路整備が終わるとともに民間倉庫29棟を誘致し、岸壁の背後には上屋を建設。また、臨港鉄道の敷設とともに長浜内貿センターが整備され、中央ふ頭の混雑緩和に大いに寄与した。この臨港鉄道については、49年度を初年度とする5カ年計画で、総工費約1億2,500万円の巨費と鉄道用地を国鉄へ提供することによって、54年5月に福岡港駅まで延伸され、総延長3,560mが開通している。63年12月には福岡市場線も開通し、その輸送機能も著しく高められた。

 一方で、長浜地区においては、港湾機能の整備とともに漁港機能の強化および中央卸売市場の建設も進められた。中央卸売市場については、50年ごろから戦災復興大都市計画の一環として、また市民の食生活の向上と安定を図る目的で、その建設構想が具体化。53年10月に、博多漁港内に1億2,000万円で市場を建設し、併せて鮮魚部の開設を図るための市場設置案を福岡市議会が議決。55年2月に農林大臣の市場開設の認可を受けて、同年6月に福岡市中央卸売市場の鮮魚部が開設。その後、青果部(60年3月開設、68年9月に博多区那珂に移転)、食品部(59年9月開設、2000年4月に東区東浜に移転)など専門部が増設されていった。

「長浜ラーメン」の店舗が立ち並ぶ
「長浜ラーメン」の店舗が立ち並ぶ

    なお、市場の開設を契機として周辺では、市場関係者が競りの合間に食べられるよう、素早く茹でられる極細麺や麺だけの追加注文の「替え玉」などを特徴とする「長浜ラーメン」の屋台や店舗が誕生・集積していった。

(つづく)

【坂田 憲治】

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