長浜再開発で注目、海辺空間「ベイサイド北天神」(6)
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海と都心部とをつなぐ立地ポテンシャル(つづき)
こうした開発動向のほかに、福岡市による博多港周辺再整備プロジェクト「ウォーターフロントネクスト」の動きも気になるところだ。同プロジェクトは、MICE施設が集積し、都心部の貴重な海辺空間を有するウォーターフロント地区の特性を生かし、「オール・イン・ワン」のMICE拠点の形成と併せ、海辺を生かした賑わいや憩い空間の創出を検討するなど、ふ頭基部において市民や来街者が楽しめる魅力あるまちづくりに取り組んでいくもの。16年3月に「ウォーターフロント地区再整備構想」が策定されたほか、19年2月には基本スキーム素案の概要が取りまとめられ、MICE施設の整備などが進められていった。
だが、新型コロナの感染拡大を受けて、21年9月には事業内容を見直す旨を発表。今後のスケジュールについては改めて検討していくとしており、現在は事実上の停滞を余儀なくされている。コロナ禍の落ち着きとともに、ウォーターフロント地区が“海の玄関口”としての機能を取り戻していけば、ウォーターフロントネクストにも何かしらの新たな動きが出てくることだろう。
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冒頭、福岡市が「海との距離が遠いまち」だと述べた。その理由の1つには、臨海部に港湾機能が集中していることで、物理的に人が海に接するできない箇所が多いことが挙げられるが、もう1つの大きな理由としては、景観上の問題が考えられる。それは、まちと海とを隔てるように臨海部を走る福岡高速道路(都市高)の高架の存在だ。福岡市の臨海部においては、百道浜(早良区)のあたりでは景観的な配慮もあって都市高が地上付近を通っているが、それ以外の場所ではまちと海とを隔てるようなかたちで高架が張りめぐらされている。ベイサイド北天神でもそれが顕著で、とくに博多ふ頭と中央ふ頭の基部を走る都市高・高架の存在は、陸側から海を臨む景観を阻んでいるのはもちろん、ターミナルに入港する際の海側から陸を臨む景色をも阻んでしまっている。
そうしたなか、これからJR貨物による再開発が期待される長浜地区においては、都市高・高架が少し海側の高い箇所を通っていることもあって、他所に比べるとやや景観が開けているように思われる。もちろん海に直接接している部分には卸売市場があって、一般人がおいそれと近づけるものではないが、それでもどことなく漂う海辺の雰囲気は、福岡市が港町であることを改めて感じさせる。さらに、その長浜の西側に位置する中央区港の福岡船溜(博多漁港)の周辺には、西武ハウス(株)によるモントーレシリーズをはじめとしたマンションが立ち並んでおり、こちらではそれこそダイレクトに海を臨むことができる。近くには商業施設「キテラタウン福岡長浜」(21年2月開業)もあり、都心部に近接していながら海を臨むことが可能な贅沢な住環境といった様相だ。
今後、JR貨物によって長浜地区でどのような再開発が行われていくかは定かではないが、この貴重な海辺空間の生かし方次第では、ベイサイド北天神エリアの、ひいては都市・福岡のさらなる魅力向上につながっていくといっても過言ではないだろう。
(了)
【坂田 憲治】
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