2024年02月23日( 金 )

福岡周縁部のマンション開発状況(7)

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 福岡市の中心部では、市が主導する再開発プロジェクト「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」が進んでいる。これら2つの再開発プロジェクトを契機として、天神・博多をはじめとした中央区と博多区の両エリアでは、規模の大小を問わず多様な開発計画が進行。官製需要が民間投資を誘発することで、バブルに近い開発熱が生まれている。

 その一方で、そうした中心部では開発用地の争奪戦も過熱。地場だけでなく、中央大手のデベロッパーも続々と参戦し、マンションデベロッパー各社にとっては、新たなマンション開発用地の獲得に四苦八苦する状況が続いている。そのため、土地争奪戦の舞台は次第に市の中心部から市の郊外部、さらには近隣の自治体へとシフト。いわゆる“周縁部エリア”でのマンション開発が以前にも増して盛んになってきている。

 今回、福岡都市圏の周縁部を東・南・西の3つのエリアに分けたうえで、各区・自治体ごとに開発状況を見ていこう。

西エリア

福岡市西区
西のベイエリア、人気の姪浜

ウェルグラン姪浜マリナヒルズ/ラ・アトレレジデンス姪浜

 福岡市西区姪浜は、福岡市地下鉄・JR九州ともに姪浜駅を設置しているほか、九州自動車道とも接続する福岡都市高速・姪浜ICを擁するなど、交通利便性が高いエリアだ。駅ナカ商店街ともいえる「えきマチ1丁目姪浜」があるほか、駅を出て徒歩5分程度の場所には、50以上のテナントが集約された商業施設「ウエストコート姪浜」をはじめ、西区役所、姪浜中央公園などもあり、相応の生活利便性が確保されている。

 隣接エリアの小戸には、ヨットなどのマリンスポーツを楽しめる憩いの場・小戸公園や、九州最大級のアウトレットモール「マリノアシティ福岡」があり、姪浜と一体的に捉えることで、西のベイエリアとしての地位を確固たるものにしている。

 姪浜における開発の主要舞台は、やはり姪浜駅周辺だ。同駅北口から徒歩10分圏内では、(株)ラ・アトレによる「ラ・アトレレジデンス姪浜」が建設中。設計をサニム建築事務所が、施工を旭工務店がそれぞれ手がける。建築物の概要はRC造・地上15階建、延床面積3,648.68m2の全44戸。23年5月下旬の竣工を予定している。

 姪浜2丁目では、(株)ウェルホールディングスと(株)グランディアによる「ウェルグラン姪浜マリナヒルズ」が22年9月に誕生した。小高い丘の上に建設された特徴的な外観のマンションで、設計を(株)サンユニオン、施工を(株)優渾が手がけている。建築物の概要は、RC造・地上10階建、延床面積4,466.08m2の全45戸。グッデイ姪浜店やイオンマリナタウン店が徒歩圏内にあるほか、マリナタウン海浜公園も近く、生活利便性は高い。

 姪浜駅南口から、下山門方面へ徒歩15程度、自転車で6分程度の場所では、大英産業による「サンパーク姪浜西グラッセ」が建設中。設計をJIN建築設計、施工を中村建設が手がける。建築物の概要はRC造・地上10階建、延床面積3,818.92m2の全49戸。徒歩10分圏内には植物×雑貨のクゥーフラワー&ライフウェア、お菓子の店・パティスリーアンプロシェンヌなど、地域色に溢れた店舗が顔をそろえている。

サンパーク姪浜西グラッセ/アルフィーネ伊都の杜

糸島市
糸島高校前駅周辺で開発盛況

 福岡市の中心部天神・博多から、電車や自動車の利用で40分程度という近距離にありながら、山や海といった豊かな自然を内包し、観光地として全国的な知名度の獲得に成功した糸島市。九州大学伊都キャンパスの誕生や、コロナ禍におけるリモートワークの普及を契機として、近年では市外からの移住者が増加。受け皿としての住宅開発や働く場所の整備などが急速に進み、エリアを絞ったかたちでの都市化が進行している。とくに新しいまちとして注目を集めているのが、JR九州の64番目の新駅として、19年4月に開業した糸島高校前駅を核とする“伊都の杜(もり)”だ。

 糸島市が「前原東土地区画整理事業」として、19年3月までの約7年をかけて約20.2haの広大な土地を住宅地として造成。西日本鉄道(株)の主導で「コットンヒルズ伊都の杜」(全212区画)が誕生した。周辺では、スーパーやドラッグストアなどの商業施設も営業しており、生活利便性の向上に一役買っている。

 新しいまちが築かれたことで、マンション開発も活性化。糸島高校前駅周辺ではマンション建設が進んでいる。

 同駅のすぐ目の前で建設中なのが、(株)アルシスホームによる「アルフィーネ伊都の杜」。設計・施工も同社が手がけており、駅だけでなく、憩いの場である伊都の杜第1公園も目の前と、駅と公園まで徒歩1分を地で行く好立地となっている。建築物の概要は、RC造・地上13階建、延床面積3,240.41m2の全36戸。24年1月下旬の竣工を予定している。

アルバガーデン伊都の杜Ⅲ/クレアネスト糸島ソレイユ

 同じく糸島高校前駅の至近地で計画されているのが、アルバクリエイトによる「アルバガーデン伊都の杜Ⅲ」。サニーやマックスバリュを徒歩5分圏内におさめるほか、線路を挟んで国道202号側に位置する分、帰宅途中の居酒屋「もっこり」など、地元人気の高い飲食店への“ついで利用”もしやすい。建築物の概要は、RC造・地上14階建の全65戸で、24年5月の竣工を予定している。

 糸島高校前駅から徒歩10分圏内の、岩田屋前原サロン側で建設工事が進められているのが、セントラル総合開発(株)九州支店と(株)九電工ホームによる「クレアネスト糸島ソレイユ」。ガスト前原店や積文館書店前原店、Seriaフードウェイ前原店にも近く、ファミリー層にとって普段使いしやすい商業施設が整っている。また、糸島市が50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする、カーボンニュートラルの達成に向けて「糸島市地域再生可能エネルギー導入戦力」を策定。これに合わせて、同マンションは糸島では初となるオール電化×太陽光発電(共用部)×EV対応を実現した、低炭素建築物の認定を取得している。建築物の概要は、RC造・地上12階建、延床面積3,986.62m2の全44戸。設計を(株)ATOM建築設計室、施工を(株)イチケン九州支店がそれぞれ担当しており、24年2月下旬の竣工を予定している。

西エリア MAP

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 周縁部の各エリアでは、主に鉄道駅周辺や鉄道沿線を中心としてマンション開発が旺盛に行われている印象だが、エリアによっては駅から遠く離れた場所での開発も散見された。いまだ人口増の勢いに陰りが見られない福岡市の勢いに誘発されて、周縁部を含めた福岡都市圏の開発が活況を呈しているが、その傾向も当面は続きそうだ。

(了)

【坂田 憲治/代 源太朗】

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