2024年04月15日( 月 )

急加速する天神ビッグバン&博多コネクティッド(1)

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 2022年の下半期―とくに年末にかけて、福岡市の都心部再開発プロジェクト「天神ビッグバン」の新たな大規模プロジェクトが次々と発表された。現在、天神および博多という都心部で市主導の2つの再開発プロジェクトが進んでいるが、コロナ禍での一時的な停滞を経て、再び活況を呈し始めている。今回、現在進んでいるプロジェクトの概要を改めて振り返ってみたい。

天神ビッグバン

26年末の期限が迫る大規模再開発PJ

 2015年2月に福岡市が主導する都心部再開発プロジェクト「天神ビッグバン」が始動してから、早8年が経とうとしている。

 高さ制限と容積率という2つの規制緩和や天神BBB(ビッグバンボーナス)を含めた優遇制度により、当初は24年度までに30棟の民間ビルの建替えを誘導して延床面積を1.7倍に拡大するとともに、雇用を2.4倍に拡大して、約2,900億円の建設投資効果と、建替え完了後からは新たに毎年約8,500億円の経済波及効果を見込むとしていた。

 16年7月には天神ビッグバン始動後の最初の完成プロジェクトとして、中洲・那珂川の水辺空間である「水上公園」がリニューアルオープン。15年11月に再整備が着工した同公園は、三角形の敷地形状を生かし、突端部分に三角形の鉄骨造2階建の施設「SHIP’S GARDEN」を建築。外壁はカーテンウォールサッシで開放感のあるデザインに加え、屋上は階段状のウッドデッキ張りで憩いの空間を創出し、上部にはシンボリックな帆が設置することで、コンセプト通りに帆船をイメージさせる外観となっている。

 水上公園のリニューアルオープン以降も、天神ビッグバンのエリア内では、大型複合ビル「天神ビジネスセンター」や、「天神コア」「福岡ビル」「天神ビブレ」の3棟一体建替え、商業施設「イムズ」建替え、大名小跡地再開発など、各所で大規模プロジェクトが進行。ところが、20年以降のコロナ禍によって世の中の状況が一変した。

 コロナ禍を受けて福岡市は20年8月、ビルの「換気」「非接触」「身体的距離の確保」「通信環境の充実」などの感染症対策などを盛り込んだ取り組みを誘導する方向性を新たに策定。福岡市を世界に先駆けた「感染症対応シティ」へと変貌させていきたい考えで、感染症対策などの取り組みを実施するビル計画には、市独自の容積率緩和制度を拡充することで容積率が最大50%上乗せされるとした。

 また、コロナ禍による経済活動の停滞を受けて、当初24年度までだった天神BBBの竣工期限を、26年12月末まで延長。こうして天神ビッグバンのプロジェクト期間は、当初の10年間から2年間延長されて、12年間となった。

天神ビッグバンエリア

天神ビジネスセンター

 天神ビッグバンの規制緩和第1号として、21年9月末に竣工を迎えたのが「天神ビジネスセンター」だ。

 福岡地所(株)による同ビルは、もともとあった「天神セントラルプレイス」(旧・福岡三和ビル)の建替え計画として進められ、隣接していた4棟のビル(西日本ビル、福神ビル、福岡日興ビル、因幡ビル)との一体開発が行われていた。

 明治通りと因幡町通りの交差部をピクセル状に削ることでオープンスペースをつくり出し、性格の異なる2つの通りをシームレスにつなぎながら、明治通りの街並みと調和したオリジナリティの高い多様性のある沿道景観を創出。また、ロビー内はホテルライクな洗練されたインテリアデザインを採用することで、入居する企業の顔としての役割をはたす上質なエントランス空間を演出している。

 また、福岡初で国内でも有数の大規模免震構造を採用し、国内屈指のBCP性能とオフィススペックを備えるBCP 対応の高機能オフィスビルとなっている。1階商業ゾーンには、世界的なアウトドアアパレルブランドとして知られる「patagonia(パタゴニア)」が出店するほか、地下2階部分には22年春に飲食ゾーン「天神イナチカ」も誕生した。

 開業から約1年あまりで、すでに天神の新たな顔の1つとして定着した感がある天神ビジネスセンター。隣接地では今後、同じく福岡地所による「北別館跡地活用事業」(後述)の開発が進んでいくことになる。

天神ビジネスセンター
<敷地面積>
3,917.18m2
<延床面積>
6万1,100.34m2
<規模>
地上19階・塔屋2階・地下2階建
<用途>
事務所、店舗、駐車場等
<建物高さ>
約89m
<竣工>
2021年9月

福岡大名ガーデンシティ

 天神ビッグバンの規制緩和第2号となる「福岡大名ガーデンシティ」は、まもなく開業を迎えようとしている。

 福岡大名ガーデンシティは、閉校となった大名小学校の跡地を再開発する「旧大名小学校跡地活用事業」として進められてきたもので、事業者である積水ハウス(株)、西日本鉄道(株)(以下、西鉄)、西部ガス(株)、(株)西日本新聞社、福岡商事(株)の5社が「大名プロジェクト特定目的会社」を設立。事業期間70年の定期借地方式で市から敷地を借り受け、大規模なフロア面積と高度なセキュリティを備えたオフィスのほか、ラグジュアリーホテル「ザ・リッツ・カールトン福岡」や日本初進出の商業店舗など、グローバルビジネスを呼び込むための高機能な複合施設を整備する。

 広場を囲むように北側にオフィス・ホテル棟、西側に公民館などの公共施設などが入るコミュニティ棟を整備するほか、イベントホールや立体駐車場なども整備される。また、広場南側に位置する大名小学校の南校舎は、市のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」として活用されており、福岡大名ガーデンシティとの連携も図られていく予定。

 本体工事は19年12月に着工し、今年1月20日には、福岡大名ガーデンシティ内の広場が先行して供用を開始した。また、商業フロア「福岡大名ガーデンシティ・ビオスクエア」は4月に先行3店舗、6月に15店舗が開業を予定。オフィス含めたその他の施設については、内装工事が完了次第、順次の供用開始を予定している。

福岡大名ガーデンシティ福岡大名ガーデンシティ
<敷地面積>
約1万1,900m2
<延床面積>
約9万400m2
<規模>
【オフィス・ホテル棟】
 地上25階・地下1階建
【コミュニティ棟】
 地上11階・地下1階建
【イベントホール】
 地上1階・地下1階建
<用途>
ホテル、オフィス、商業施設、広場、公共施設等
<建物高さ>
約111m
<開業>
2022年1月より順次供用開始

(つづく)

【坂田 憲治】

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