2024年05月24日( 金 )

丘陵の閑静な住宅地「福岡・小笹」(後)

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「小笹団地再生事業」でエリアの再浮揚なるか?

かつての駅前が小笹エリアの中心地
かつての駅前が小笹エリアの中心地

    現在の小笹は、かつての駅前だった小笹交差点および小笹北交差点付近を中心地として、エリア内を東西に貫く筑肥新道および南に延びる水道路通りに沿って食品スーパーをはじめとする商業店舗や銀行支店、マンションなどが集積している。一方で、中央区内でもとくに自然に恵まれた環境にあり、小笹5丁目にある福岡市植物園をはじめとして、多くの公園や緑地が点在。とくに公園においては、鴻巣山公園(小笹1丁目ほか/面積9万3,270m2)や小笹南公園(小笹2丁目/面積2万256m2)、小笹中央公園(小笹4丁目/面積1万9,884m2)などの大きなものから小規模な幼児公園まで含めて、エリア内に19の公園が整備されており、住環境および景観の向上に大きく寄与している。

(左)小笹中央公園 (右)小笹南公園
(左)小笹中央公園/(右)小笹南公園

 小笹(1~5丁目)および中央区平和(3、5丁目)を範囲とする小笹校区の直近30年間の人口推移(いずれも各年9月末の数字)を見ると、92年の1万1,997人(4,550世帯)から、10年後の02年には1万4,267人(5,950世帯)まで増加。その後、06年にピークとなる1万4,957人(6,265世帯)まで増えた後、緩やかな減少傾向に陥り、19年には1万4,010人(6,300世帯)まで減少した。その後、現在は再び増加傾向に転じ、22年は1万4,566人(6,708世帯)となっている。この人口推移にいくらかの影響を与えていると思われるのが、前出の小笹団地だ。

 古い棟では1956年度に建てられた小笹団地は、次第に建物や設備が老朽化。同時に、住民の高齢化や減少も進み、空き部屋も目立つ状況となっていった。そうした状況下で福岡県住宅供給公社は08年に、小笹団地の居住者を対象に「入居者意向調査」を実施。約9割の入居者から「住み続けたい」という回答が得られたことから、『まちづくり』vol.12(18年12月末発刊)でも取り上げた「小笹団地再生事業」へと踏み切った。

 同再生事業は、小笹団地の北ブロックのうち、とくに老朽化が著しかった26棟・413戸を対象としたもので、まず14年度より1~3期に分けて15棟・264戸部分の約2.7haの建替えを実施。21年1月末までに6棟・297戸からなる賃貸マンション「クラシオン小笹山手」として生まれ変わった。このクラシオン小笹山手の完成時期は、前述の小笹校区の人口推移が増加に転じた時期ともリンクしており、小笹団地の再生がエリア内に新たな住民を呼び込むことに寄与していることがうかがい知れる。

 なお、小笹団地の北ブロックの残る11棟・149戸部分の事業余剰地約1.8haについては、基本協定および不動産売買契約に向けた協議を福岡県住宅供給公社と行う事業者を決定するために、総合評価プロポーザル方式の企画提案型公募を実施。その結果、20年8月に(株)えんホールディングスを代表企業とするグループが最優秀事業者に決定した。今後、同グループによる「(仮称)エンクレストガーデン福岡」(RC造一部S造・地上14階地下1階建、総戸数364戸)としての開発が進んでいく予定となっている。こちらも完成の暁には、エリア内に新たな住民を呼び込むことで、小笹の活性化や賑わい創出に寄与していくことが期待されている。

(左)クラシオン小笹山手6番館 (右)「(仮称)エンクレストガーデン福岡」予定地
(左)クラシオン小笹山手6番館
(右)「(仮称)エンクレストガーデン福岡」予定地

 こうした小笹団地の再生事業に触発されるかのように、小笹エリアでは近年、(株)アライアンスによる「エイリックスタイル小笹センターマーク」(RC造・地上14階建、総戸数65戸、22年1月竣工)や、(株)LANDICによる「アソシア小笹翠景」(RC造・地上10階地下1階建、総戸数101戸。22年3月竣工)など、新たなマンション開発が相次いでいる。今後もLANDICによる「(仮称)小笹5丁目計画A」(RC造・地上5階地下1階建、総戸数39戸)および「(仮称)小笹5丁目計画B」(RC造・地上5階地下1階建、総戸数59戸)といった計画が控えており、居住地としての小笹ブランドの人気の高さは、いまだ健在のようだ。

(左)エイリックスタイル小笹センターマーク (右)アソシア小笹翠景
(左)エイリックスタイル小笹センターマーク
(右)アソシア小笹翠景

 今後も小笹は、豊かな自然環境に囲まれながら、適度な利便性をも享受できる都心に近い閑静な住宅地として、目立つことはなくとも相応の人気を博しながら、独自の存在感を発揮していくだろう。

(了)

【坂田 憲治】

(中)

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