2024年05月08日( 水 )

福岡トップゼネコン・上村建設、初の中経は上振れ着地を予想(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

上村建設(株)
代表取締役社長 上村 英輔 氏

部署間横断の連携強化など、
旧態依然の社内体制を刷新

上村建設(株) 代表取締役社長 上村 英輔 氏
上村建設(株)
代表取締役社長 上村 英輔 氏

    ──4年前に社長に就任されましたが、トップとなったことで改めてみえてきた自社の課題などはいかがでしょうか。

 上村 私が社長に就任してから改めて見えた課題、就任前から見えていた課題など、さまざまありました。それらの課題は、まだすべてが解決したわけではありませんが、1つひとつ地道に解決策を模索しつつ、より良い会社にしていこうと努めているところです。

 おかげさまで当社は、今年で設立から64年を迎えます。それだけ長い歴史を積み重ねてきた会社ですから、やはり昔ながらのやり方であったり、旧態依然とした社内体制だったり、そうしたものが根強く残っていたのも事実です。たとえば、以前は営業・設計・積算・工事など部署ごとそれぞれの管理体制で、部署間を横断した連携というものがあまり取れていませんでした。ともすれば連携どころか、他部署のことは知らん顔、なんてケースもあったようです。

 しかし、お客さまにとっては、そんな当社の社内事情なんて関係ありません。お客さまは、当社を信頼して1つの夢を預けてくれているわけですから、その信頼に応えて、お客さまの夢をきちんとかたちにしていくことが我々の商売の基本です。

 そのため、旧態依然とした社内体制を刷新し、社員に「出る杭は打たれる」と思わせてしまうのではなく、社員の良さを引き出していくような環境整備こそが、経営者としての私の役割だと考えています。

 社員に光を当てることで、社員が働きやすくなり、それが良い仕事につながって、お客さまが喜んでくれる。そういった良い循環が生まれていくような社内体制にしていかなければなりません。昨年度より当社グループでは地元福岡に暮らす人を幸せにするという想いを込めて「Make U Happy」というスローガンを掲げていますが、現在は社員に対する「Make U Happy」も強化しているところです。そのため現在は、少しずつではあるものの社内の課題を1つひとつ解消しながら、さらに事業に打ちこめる社内体制へと変えている羽化の途中であると考えています。

Make U Happy

建設事業強化のため、多様な物件にチャレンジ

 ──御社は賃貸マンションの「プレア」シリーズに代表されるように、商品企画力への定評があります。

 上村 当社では建築本部内に設計室やOEM商品の開発などを行う技術開発室を抱えており、皆さまに評価していただいている商品企画力は、こうした内製化による自社内でのノウハウの蓄積や効率化等によるものだと考えています。ですが、こうした内製化が、ある意味で当社の強みであり、弱みにもつながってしまっていると思っています。

 というのも、たとえば当社に対する評価として、巷で「上村建設は“幕の内弁当”をつくるのはとても上手だけれど、“ほかのオリジナリティある弁当”はつくれないよね」──という声もあると聞いています。これを聞いたとき、悔しいですけれど、言い得て妙だなと思ってしまいました。当社の規格型賃貸マンション「プレア」を例に挙げると、こうした品質・機能・デザインなどが高水準でまとまったパッケージ規格型のいわば“優等生”のような物件の施工であれば、たとえ大手との競争でも、勝ってきた実績もあります。ですが一方で、規格型商品や設計施工以外の物件については、残念ながら不得手な部分もあると言わざるを得ません。他社設計の、それもデザインや構造などが凝った案件への対応力というのは、弱くなってしまっているのが現状です。これが内製化に注力し過ぎた弊害だといえるでしょう。

上村建設    そのため現在は、共同住宅事業だけでなく、物流施設や商業施設、オフィスビル、PPP(官民協働事業)などの多様な建設事業の強化に取り組んでいるところです。新たなタイプの物件を手がけることで、これまでとは違う視点での知見が得られます。たとえば大手の物件を手がける際には、その徹底した品質管理に驚かされましたが、そうやって価格に見合うだけのブランドを維持しているのだということも学べました。そういう多種多様な物件も手がけていき、さまざまな実績を積み重ねて技術を学び、市場のニーズなどをきちんと社内に情報としてインプットしながら、総合建設会社としてさまざまな物件への対応力を上げていっているところです。

 ──公共工事などはいかがですか。

 上村 もちろんやりたいと思っていますし、チャレンジしているものは何件かあります。ですが現状は、基本的にはJVの1社としての参加であって、当社単体で入札に参加しているものはありません。残念ながら、PFIとかそういったものを自社だけで賄える実力はまだ足りませんが、いろいろとチャレンジを続けていくことで、少しずつ力を付けていきたいと思っています。

(つづく)

【聞き手:永上 隼人/文・構成:坂田 憲治】


<プロフィール>
上村 英輔
(うえむら・えいすけ)
1981年12月、福岡市出身。芝浦工業大学システム工学部を卒業後、2005年4月に(株)穴吹工務店に入社し、現場監督を務める。08年4月に(株)福岡銀行へ入行。16年1月に上村建設(株)に入社。常務取締役・社長室長を経て、19年7月に代表取締役社長に就任した。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:上村 英輔
所在地:福岡市博多区住吉4-3-2 博多エイトビル7F
設 立:1959年2月
資本金:1億円
URL:https://www.e-uemura.jp

(後)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事