2024年04月20日( 土 )

「女性が輝く」社会づくりに貢献する(後)

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株式会社 博多石焼大阪屋 取締役会長
福岡商工会議所 副会頭 西川 ともゑ

地域と子どもたちを育てる

西川 ともゑ 氏<

西川 ともゑ 氏

 西川ともゑ氏はそうした女将業で奮闘する傍ら、育った博多への地域貢献活動も行ってきた。92年には「博多ごりょんさん・女性の会」を設立し、博多部の主婦を中心とした女性の目によるまちづくりを推進。那珂川河畔に花の苗やチューリップの球根を植えたり、昔の博多の生活文化の勉強会などを開催している。四季折々の歳時イベントの実施や、博多の文化遺産発掘・継承のためのさまざまな活動などを通じて地域全体に活力を呼び起こし、博多部を盛り上げていきたいとの想いからだ。

 そうした活動のなかでも、とくに力を入れているのが、次世代を担う、小学生の子どもたちを対象にした勉強会だ。
 「もう長年、博多小学校で子どもたちに料理を教えたり、山笠のときに使う手ぬぐい染めを教えたりしています。とくに料理は、子どもたちにきちんと食の大切さを伝えたいと思っていて、教えているのは、がめ煮や博多雑煮、豚汁、おにぎりなどです。買えばいくらでも豪華な食べ物はある時代ですが、だからこそ、きちんとした郷土の味・おふくろの味を子どもたちに知ってほしい、受け継いでほしいと思っています」と西川氏。さらに子どもたちには、自分の母校、そして地域への誇りを持つようにも伝えている。
 「子どもたちには、『あなたたちは、今は博多小学校の生徒であることを何とも思わないだろうけれど、将来、博多小学校の卒業生であると誇りに感じるときが必ず来ます』と伝えています。やはり『誇りを持つ』ということが大事で、それがその人にとって大事な『心棒』になるのではないかと思います。自分のなかに誇りがあれば、変なこともできません」。

 子どもたちの育成には、地域の力も重要だと西川氏は説く。とくに博多部は、山笠にどんたくにと、地域で一体となる行事も多い。子どもたちはそうした行事への参加を通じて、上下関係も身に付けていく。年長者には敬語を使い、上の子が下の子の面倒を見、そして下の子は上の子に付いていく。こうして身に付いた経験は、やがて子どもたちが大人になり、実社会に出たときに、きっと役に立つことだろう。まさに、地域が子どもを育てているのだ。

福岡商工会議所で初の女性副会頭に

 西川氏は、現在、福岡商工会議所で副会頭を務めている。副会頭に女性が登用されるのは、福岡商工会議所140年余りの歴史のなかで初であり、全国的に見てもまだまだ希少だ。西川氏は11年から同商工会議所の女性会会長も務めており、「行動する女性会」をモットーとする女性会の長として、今回の副会頭就任に応じたという。

 「私は、世のため人のためと言いながら、実は自分が一番嬉しいんですよ。というのも、私は人のお役に立つことが一番の喜びです。ですから、今回も副会頭として、皆さんのご意見を吸い取りながら、誰でもが参画できる目標をつくり上げていきたいと思います」と西川氏。とくに女性が安心して子どもを産み、育てられる、「女性が輝く」社会づくりに貢献していきたいと語る。
 「やはり子どもを産み、育てるというのは、一番の喜びです。子育てを通じて、青春を2度味わうことができます。孫が生まれると3度味わえます。この喜びは女性の特権です。もちろん子育てには男性の力も必要です。男女がともに子どもを育てられる社会づくりが必要です」。

 西川氏に最後に、次の世代を担う若者に対して、激励の言葉をいただいた。
 「私は社会に出たときに、『3倍努力しなさい』と言われました。女性、男性に関わらず、3倍努力をすれば人よりも少しだけ前に進むことができます。人生はいくつになっても、常にスタートです。ゴールはありません。何をやるにしても、思い立ったが吉日です」。

(了)


■INFORMATION
(株)博多石焼大阪屋
代 表:西川 真太郎
所在地:福岡市博多区中洲5-3-16
設 立:1953年11月
資本金:1,000万円
TEL:092-291-6331
URL:http://www.osakaya-15.com

<プロフィール>
nisikawa西川 ともゑ(にしかわ ともゑ)
博多部で育ち、結婚後10年間の専業主婦時期を経て、(株)博多石焼大阪屋の女将として采配を振るう。1998年から博多部の女性でつくる「博多ごりょんさん・女性の会」会長、2011年から福岡商工会議所女性会会長を務め、14年11月からは福岡商工会議所副会頭を務める。

 
(前)

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