2024年12月11日( 水 )

福岡から身を切る改革の実現を すべての人が暮らしやすい地域づくりを目指す

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日本維新の会福岡県議団 幹事長 塩生 好紀 氏

 4月の統一地方選挙で、全国的に大きく躍進した日本維新の会(以下、維新)。福岡県議会では、3人の維新所属議員が誕生し、「日本維新の会福岡県議団」を結成。大阪をモデルとした身を切る改革と行財政改革を進めていく方針を掲げている。今回、同党県議団幹事長・塩生好紀氏(福岡市西区)に、政策課題や将来の展望について話を聞いた。

地盤がないなかでの挑戦

日本維新の会福岡県議団 幹事長 塩生 好紀 氏
日本維新の会福岡県議団
幹事長 塩生 好紀 氏

    ──まずは今回の選挙戦の振り返りと当選を受けての率直な感想をお聞かせください。

 塩生好紀氏(以下、塩生) ご承知の通り、実績豊富なベテランや親御さんから地盤を継承した現職議員との厳しい戦いとなりました。私が出たことで無投票ではなくなった点を評価していただけた反面、正直当選できる確率は低く、身近な支援者からも「4年後頑張ろうね」との励ましの声をいただくといった状況でした。そのため、今回の当選には嬉しさの前に驚きを感じました。

 ──現職の1人は父親が県議会議長も務め、地域の顔として認知された方でした。

 塩生 維新に対する風が吹いていたことも当選の一因だと思います。また、民間企業での経験と、比較的若い世代である点に期待をお寄せいただけたのかなと思います。活動内容については、県政レポート「塩NEWS」を作成し、配布しております※。

 今回の選挙結果を分析するなかで、選挙区である西区の投票動向をみると、九大生や子育て世代が多く居住する九大学研都市駅周辺エリアの投票率が低かったことがわかりました。若年層が政治に関心をもち、私たちが目指す改革の理解を得るためには何が必要なのか、その見極めがこれからの課題といえます。

有権者に選択肢を示す

 ──県議に挑戦される前、西区選出の天野こう福岡市議の事務所で経験を積まれました。

 塩生 24歳のとき、当時勤務していた会社を退職し、独立しました。自らの経験や資格を生かしたソーシャルビジネスで社会貢献したいと考えたからです。起業に向けて動くなかで、ご縁をいただいたのが福岡市西区でした。以降、西区周船寺に拠点を置き、スポーツチームや地域、企業の健康支援を行う会社を設立。介護予防を目的とした高齢者向け健康支援サービスや企業向けの健康経営支援、不登校支援事業などを行っています。

 天野市議との出会いは地域にも馴染みはじめたころでした。共通の知人を通じて「違うかたちで社会的課題に取り組んでいる同世代の人がいるよ」とご紹介を受けました。天野市議も脱サラして市議になられており、キャリアや世代も近いため意気投合。親睦を深めるなかで、天野市議の秘書として活動することになりました。政治家を目指して秘書の門を叩いたわけではありませんでしたが、活動を通じて西区での県議選は無投票が続いてきたことを知り、有権者に選択肢がないまま県議会議員が決まってしまう状況を放置することは良くないと考えるようになり、立候補を決断しました。

 ──県議として現在主に取り組んでいることについてお聞かせください。

 塩生 事務所や会派には多くの陳情・要望が寄せられており、その対応に日々勤しんでいます。なかには小中学生や高校生からの相談もあります。社会的課題の解決を目指して起業しましたが、いち零細企業で行えることには限界があり、やはりルールづくりに携わらないと社会的課題の根本的な解決は困難であると、改めて感じています。

 理学療法士の経験を生かし、高齢者が身体や認知機能の低下にともない直面するさまざまな課題解決に向けて県執行部や警察とも協議をしているほか、障がい者支援や不登校などの相談を親御さんや学校の先生、障がい福祉事業所から受けることも多いため、インクルーシブ(多様性の尊重に基づいて障がいのあるなしにかかわらず共に生きる社会)実現に向けた政策にも取り組んでいます。福岡県は不登校の子どもたちが多いなかで、行政の支援が十分とはいえません。フリースクールなど支援の充実について執行部とも協議を進めていますが、他の都道府県同様、積極的な財政支援を行っていただきたいと思います。

身を切る改革を目指して

 ──維新は身を切る改革を掲げ、議員定数と議員報酬の2割削減を掲げていますが、どのように県議会で進めていきますか。

 塩生 身を切る改革の報酬2割カットに関しては、6月議会前に議長に協議の申し入れを提出しております。ご承知の通り少数会派での実現は難しいため、各議員で2割分を県外の福祉団体や被災地への寄付を実行および調整しております。面積が広い自治体であれば相応数の議員が必要ですが、そうでない地域も散見され、人口減少が避けられないなか、議員定数の適正化は地域課題としても、一層議論を深めていく必要があると思います。

 ──最後に新人県議として意気込みをお聞かせください。

 塩生 子どものころ、不登校になりハンディキャップを背負った経験もあり、次世代に向けた子育て支援や若者支援を訴えっていますが、先述の活動内容でもお話した通り、決して高齢者の方を向いていないわけではありません。超高齢社会で高齢者を支えるためにも現役世代である私たちが頑張り続ける必要があり、そのための環境整備が不可欠であるという考えのもと動いています。福岡市議会は、天野市議をはじめ維新の市議が各区にいます。私は県議ですが、政令市や一般市町村の議員とも連携して、縦割り行政に対し、しがらみなく横のつながりを生かし、より良い地域社会の実現に向けて、取り組んでまいりたいと思います。

【近藤 将勝】


<プロフィール>
塩生 好紀
(しおにゅう・こうき)
1989年生まれ。山口県岩国市出身。山口県立華陵高等学校英語科卒業後、福岡医健専門学校にて理学療法士(高度専門士)の免許を取得し、2013年、健康支援や不登校支援事業で独立・起業。福岡市議会議員天野こう事務所秘書を経て、23年4月の統一地方選挙で初当選をはたした。
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