2024年04月19日( 金 )

(株)アダル、武野重美会長が見た上海の「いま」(2)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

福岡の10倍!インフラ整備の驚くべきスピード

 上海の地下鉄建設工事のスピードの速さは、前述した通りである。浦東にかかる南北2本の大橋は2年で完成した。92年のことである。上海の空港は従来、「上海虹橋国際空港」の1カ所だった。国際空港として「上海浦東国際空港」が稼働し始めたのが、99年からである。現在、3カ所目のターミナルと5本目の滑走路が建設されているが、完成すると年間8,000万人の利用できる空港になる。国際ハブ空港の役割を十二分に果たせる規模である。

 不思議なのは、リニアモーターカーだ。中途半端に20kmほど開通しているのだが、そこから先への延伸工事がストップしている。もう10年は頓挫しているであろう。

 浦西地区の都市高速道路の建設も迅速であった。西回り・東回りの幹線と、中央部貫通線が開通してから、車での移動時間がある程度予測できるようになったのは便利だ。福岡市でいえば、都市高速環状線が開通したことによるメリットと同様の利便性を得るようになったのだ。そして上海中心部から各地区へと向かう高速道路と連結している。

 2010年、上海万博の視察のときに初めて揚子江を横断する(一部地下トンネル)道路を走ったことがある。河口では40kmの幅があるだろうが、これを平然と貫通させたのである。

 新幹線も一瞬にして開通させた。発着駅は上海駅と虹橋駅である。虹橋駅の地下にある商業施設には度肝を抜かれた。ケタが違うとはこのことだ。南京市には1時間、首都・北京までは6時間で到達する。

物流の要、巨大な新港湾

 最後に、巨大都市には膨大な物流の動きが発生するが、その拠点はどこなのか。それは、上海新港が担っている。上海新港は、正式には「洋山深水港」と呼ばれる。揚子江河口から南東へ40kmの東シナ海に、大洋山島と小洋山島の2つの島が浮かんでいた。ここを埋め立てて、港湾へと仕上げた。32.5kmの海洋橋、「南海大橋」を往来して、膨大な物流が移動できるようになった。

 この洋山深水港の建設は02年にスタートしたのだが、今や取扱高は世界有数の港になっているのだ。現地に3回飛んだが、建設の進行スピードの速さには、驚かされるばかりであった。福岡都市高速道路・百道浜ランプが完成したのが89年である。それから10年が経過して、ようやく姪浜ランプが開通した。わずか7km程度の距離である。あまりの遅さに怒りを覚えた。一方の上海は、10倍の速度でインフラ整備をはたしてきたのである。

新開発地区・新天地に見られる変化

 2010年の上海万博までに上海の激変の勢いはピークに達し、成熟進化都市へとステップアップする段階に入った。30年前(89年)と比較すると100倍の激変を遂げた上海も、質的変化が感じ取られるようになった。今回の上海滞在中、25年来の友人である劉氏がホテルを訊ねてきた。彼は中国政府労働局に所属し、研修生派遣会社のナンバー2の立場で采配を振るっている。日本にも3年ほど仕事で滞在したことがある。

 彼が案内してくれたのは、2000年に香港資本によって開発された「新天地」だ。上海中心部東側に位置する。ショッピングモールやレストランのほか、事務所ビル、居住用マンションと、見た目は従来型の開発区。夜にはバーなども営業し、観光客がたむろする名所になっている。言わば、老舗・外灘に対抗するほどの人気スポットだ

 ところが歩いてみると、雰囲気が違う。レストランに座っている人たちも、ゆったりとしたムードを醸し出している。一昔前のエネルギッシュな生活スタイルが薄れているのだ。築100年以上経過している富豪の住宅が残っている。それを、入場料30元取って公開しているのだ。当時の金持ちの暮らしぶりが一目瞭然となる。

 ふと思い出したのは、以前歩いたことのある金沢の街並み。金沢は、道路沿いの住宅の持ち主が、軒先で展示品を並べている。立ち入るには入場料が必要なのだ。言わば隣近所同士で、小さいテーマパークが競い合うような様相を呈している。この光景こそが、都市・金沢の成熟度合の深さを表したものだと感動したときの記憶が鮮明に蘇ったのである。

 この『新天地』を散策しながら、「都市・上海も成熟段階に突入した」と改めて強く認識した。

(つづく)

(株)データ・マックスが主催する「MAX倶楽部NEXT」では5月8日(火)午後5時から、データ・マックスセミナー室(福岡市博多区中洲中島町2-3福岡フジランドビル8F)にて(株)アダルの武野重美代表取締役会長の特別講演会を開催。
中国進出から20年、集大成として新たに開設する新工場への想いを語ってもらう。

参加申し込みはこちらをダウンロードしてプリントアウト、必要事項をご記入の上
FAX:092‐262‐3389
までお送りください。

 
(1)
(3)

関連記事