空き家「予防」へ太宰府に根ざし取り組む(後)
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(一社)太宰府市空き家予防推進協議会
創設者 淀川 洋子 氏
代 表 片山 順一 氏全国に850万戸あるとされる空き家は今後、さらなる増加が懸念されている。その「予防」について、福岡県太宰府市で産官学と連携しながら、地に足を付けた取り組みを行っているのが、(一社)太宰府市空き家予防推進協議会である。その創設者である淀川洋子氏と代表の片山順一氏に話を聞いた。
子どもに住教育講座
──協議会では、子どもたちを対象にした住教育カリキュラムを行っています。
淀川 私たちは「家つくりは、暮らしつくり」をモットーにしています。とくに「家事塾」を通じて、片付け=モノと向き合うことを通して、自分にとってちょうど良い量で好きなモノに囲まれて、自分のペースで幸せに暮らす方法を伝え、片づけと捨てる技術を身に付けた家事セラピストの養成も行っています。また、この活動の延長として「子ども家事塾」も行っています。幼稚園・保育園児から小学生・中学生とその親を対象にしたもので、「お手伝い」「お片づけ」「ごはんづくり」といったテーマのほか、各種の講座やイベントを行っています。
このうちお片付けでは、本当に必要なモノなのか(定量)、どこに片付けるのが良いのか(定位置)、などを体験できるワークショップを実施しており、受講した子どものお母さんから「子どもが私たちの苦労をわかってくれるようになった」などといった声をいただいています。カードゲームを使った自立を考える講座では、「人は何歳からアパートを借りられる?」などの問いかけをから始まり、住まいと暮らしについて考えるきっかけをつくっています。
暮らしの文化をつなぐ
──このような取り組みを行うのは、なぜでしょうか。
片山 まず、住まいと暮らしについて、市内の子どもたちが、どう意識しているのかという現状を知ることが大切です。そして、子どもたちの住まい方に関する意識を育て、それが地域の活性化などの貢献につながればと考えています。これまでの活動を通じて、片付けをすることの大切さに気付いていない子どもが増えているように感じられています。ただ、楽しみながら学ぶことで、その意識は変わっていきます。
空き家の問題も同様です。子どものうちから住まいや暮らしについて学び理解する機会があったのなら、今のような空き家がこんなにも増える状況にはならなかったのではないでしょうか。そうした視点から、子どもたち、その両親、さらには地域の人たちを巻き込み、空き家予防に貢献したいと考えています。
淀川 戦後の住宅政策では供給量を重視するあまり、住まいの質、人々の暮らしの質を疎かにしてきました。また、核家族化が進み、住まいや暮らしに関する大切なこと、親の実家をどうするかなどについて、家族のなかでしっかりと話し合う機会が失われてきました。そうしたことが長く続き、住まいや暮らしに関する経験がうまく伝わらず、結果として空き家の増大につながったのだと認識しています。ですので、私たちは家事塾、子ども家事塾などを通じ、日本の優れた「暮らしの文化」を次世代につなぐことで、社会に貢献していきたいと考えています。
(了)
【田中 直輝】
<INFORMATION>
(一社)太宰府市空き家予防推進協議会
創設者:淀川 洋子
代 表:片山 順一
所在地:福岡県太宰府市通古賀4-4-16-102
設 立:2018年6月
TEL:092-925-6782
(事務局 イエノコト(株) )
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