2024年06月23日( 日 )

『脊振の自然に魅せられて』「ショウジョウバカマと落とし物」(後)

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 林道を歩くこと30分、撮影疲れと久しぶりの山歩きで、ふくらはぎの筋肉が張っていた。ふとザックの後ろに手をやったところ、アノラックがないことに気付く。どこかに落としたのである。やってしまった!

 下ってきた道を戻る元気はもはやなかった。とりあえず車に戻って一息つこうと思い、白糸の滝の茶屋でうどんを食べて空腹を満たすことにした。店の人に「この辺に交番はありますか」と尋ねると「最初の信号を右手に曲がって200mの所にあります」という答えが返ってきた。教えてもらった交番へと向かったが、あいにく駐在さんは留守。「留守のときはここへ電話をしてください」と書かれた紙が交番内にあったので、その番号に電話すると、糸島警察署につながった。「落とし物をしたので届けを出しに来ました」というと、「10分で駐在が戻ります、待てますか?」とのことだったので、車内で待つことにした。その後、駐在さんが戻ってきたので、落としたアノラックの特徴とメーカー名を伝えた。帰宅後はいくつかのSNSで、山で落とし物をしたと投稿した。

岩場に咲くツクシショウジョウバカマ
岩場に咲くツクシショウジョウバカマ

 翌日午前中に仕事を終え、13時30分に再び白糸の滝へと向かう。最低限の食糧と水を用意し、日暮れを迎えることも想定してライトもザックに入れ昨日歩いたコースへ向かう。

 2日続けてショウジョウバカマに会いにいくことになった。昨日、花たちに「来年も会おうね!」と言ったばかりなのに、「また来たよ」と言う羽目になってしまった。

 下山する人たちとすれ違う。「こんな時間から登るのか」と思われるので、「落とし物を探しに行きます」と声をかけた。「どんな物?」と尋ねられたので、「某メーカーの赤いアノラックです」というと「なかったです」という返事が返ってきた。

 魚肉ソーセージと乾パンを食べながら急ぎ足で山を登る。しばらくすると水と食糧がつきそうになってきた。魚肉ソーセージはあと2本、ペットボトルの水はあと1本携帯すべきだった。せめて駐車場に戻るまで食糧と水がもってくれれば──。

 「ここだ」と思う場所と昼食をした場所の近辺を探すも見つからない。16時になると山は暗くなるので、日暮れを考え、昨日歩いた作業道を下ることにした。山道だと走って戻れるのだが(土だから足に負担がかからない)…。日暮れ前に白糸の滝の駐車場に着いた。人気のなくなった駐車場には筆者の車1台のみ…、自宅には18時ごろ帰り着いた。

 福岡県警と佐賀県警の落とし物リストをパソコンで検索したものの、登録がなかった。また、SNSを見て、翌日探しに行ってくれた人もいた。落としたアノラックはもらい物ではあるが、ブランド品でサイズもぴったりだった。今回の落とし物はこれまでで、一番高くついてしまった…。

(了)

脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

(中)

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